受任通知兼代金請求書が届いたら無視はNG! 支払えない時の対策とは

2023年01月12日
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受任通知兼代金請求書が届いたら無視はNG! 支払えない時の対策とは

生活が苦しかったり買い物などでクレジットカードを使っていると、想定以上の請求額に驚く方は少なくないようです。しかし、支払えないからと放置していると「受任通知兼代金請求書」が届くことがあります。

「受任通知兼代金請求書」とは「受任通知」と「請求書」が一体となった書類で、弁護士から送付されます。この請求書を、弁護士名義で通知が来たからといって怖くなり、支払い期限を無視してしまうのは大変危険です。

受任通知兼代金請求書が届いた場合はどうすればいいのか、具体的な方法を弁護士が解説します。

1、受任通知兼代金請求書とは?

「受任通知兼代金請求書」が届いて初めてこの書類の存在を知った方も多いでしょう。まずはどんな書類でどんなときに送られるのか、基本的なことをご説明します。

  1. (1)「受任通知」と「請求書」

    「受任通知兼代金請求書」または「受任通知兼請求書」とは、文字通り「受任通知」と「請求書」が一体となった書類です。

    受任通知とは、弁護士が依頼者の代理人となったことを通知する書類です。
    交渉などの窓口が弁護士に変わったということです。

    受任通知は債務整理の事案でよく利用されます。
    債務者が弁護士に債務整理のサポートを依頼すると、弁護士は貸金業者に受任通知を送り、今後の連絡窓口は弁護士であると通知します。

    そうすると業者は債務者に直接連絡を取れなくなり、結果、取り立てなどをやめさせることができるのです。

  2. (2)弁護士法人の債権回収部門が窓口

    サイト運営会社や携帯電話会社などは料金の未払いがあった場合、まず利用者にメールや電話、郵便で督促をします。督促に応じてもらえない場合には、催告書を送ります。
    それでも支払ってもらえない場合には、今度は弁護士法人などに債権回収を依頼します。

    債権回収を請け負った弁護士法人は受任通知兼代金請求書を送り、代理人となったことを通知するとともに、未納代金を早急に支払うように求めてきます。

    このような債権回収を数多く扱う法律事務所には、債権回収を専門に扱う「債権回収部門」があることが珍しくありません。
    その場合、書類には問い合わせ先として「〇〇弁護士法人 債権回収部門」と記載されているでしょう。

    なおサイト利用料の未払いなどは弁護士法人が代理人となりますが、一般的に金融機関や貸金業者からの借金は、サービサーと呼ばれる債権回収会社が回収を代行します。

  3. (3)受任通知兼請求書の内容

    受任通知兼請求書は、主に次のような内容が記載されています。

    • 弁護士法人が債権回収業務を請け負ったこと
    • 債権者名や債権内容
    • 請求金額、振込先、支払期限
    • 問い合わせ先


    書類は圧着はがきや封書の形態で、郵送で送られてくることがほとんどです。
    また「期限内に支払われない場合には、訴訟となることもあります」などと、記載されていることもあります。

2、無視はNG! 受任通知兼代金請求書で確認すべきこと

受任通知書の「法律事務所」「訴訟」という文言を見て真っ青になり、すぐに支払おうとする方いるかもしれませんが、まずは一度冷静になり、次のようなことを確認しましょう。

  1. (1)身に覚えのある内容か

    受任通知兼代金請求書を受け取ったら、まず内容をよく読んでください。
    書類には未払いの代金の概要や相手先が書いてありますので、身に覚えのある内容か確認しましょう。

    ただし書類には債権内容として「ショッピング・クレジットカード債権他」など大ざっぱものしか書かれておらず、詳細がわからないことが少なくありません。
    サイト利用料などは、そもそも自分が未払いに気づいていないこともあります。

    直近のものだけでなく数年前の取引までさかのぼり、該当するものがないか、また金額に間違いはないか、よく調べてください。

    また受任通知兼請求書が送られてくる場合、それまでに督促のメールや電話があったはずですので、そういったものが届いていなかったのかもチェックしてください。

  2. (2)振り込め詐欺・架空請求の可能性も

    受任通知兼代金請求書は、振り込め詐欺(架空請求)に使われることがあります。
    架空の弁護士法人を名乗ったり、実在する弁護士法人の債権回収部門を語ったりして、すぐにお金を振り込むように求めてきます。

    全く身に覚えのない内容である場合には、詐欺の可能性があります。
    すぐにお金を支払わずに、警察や国民生活センターに相談したり、書類に記載された法律事務所が実在するのか、連絡先を調べて問い合わせをしたりしてみましょう。

  3. (3)無視するとどうなる?

    身に覚えのない請求であったり、詐欺の疑いがあったりする場合でも、確認せずに無視してはいけません。

    受任通知兼請求書を送っても支払いがない場合、相手方は別の手段を講じてきます。
    具体的には次のような方法があります。

    • 支払督促
    • 民事調停
    • 仮差押
    • 訴訟


    訴訟となれば解決までに手間と時間がかかります。また結果によっては、財産を強制的に差し押さえる強制執行が行われる可能性があります。
    そうなれば今後の生活に困ることもあるでしょう。

    安易に「詐欺だ」と判断したり、「支払いたくないから」と無視したりしては絶対にいけません。

3、支払えないときはどうすればいい?

受任通知兼請求書が届いても、お金がなく支払えないこともあるでしょう。その場合には、次のような方法で解決を目指しましょう。

  1. (1)分割払いを依頼する

    借金の場合には相手方と交渉して借金の減額を求めることがあります。
    ですが受任通知兼代金請求書が届くようなケースでは、債権者は債権回収を弁護士法人に委託しています。
    弁護士法人は回収を請け負っただけであり、減額に応じることはまずありません。

    ただし分割払いは受け付けてくれる可能性があります。
    分割であれば返済の見込みがある場合には、まずは交渉してみましょう。

  2. (2)債務整理を利用する

    未払い料金が高額であったりほかに借金があったりする場合には、分割でも支払えないこともあるでしょう。その場合には、債務整理を利用しましょう。

    債務整理には「任意整理」「個人再生」「自己破産」の3つがあります。

    1. ①任意整理は債権者と交渉して借金を減額してもらい、計画的に返済していく手続きです。
    2. ②個人再生は一定の収入がある場合に借金を大幅に減額し、残額を原則3年で返済していく手続きです。裁判所への申し立てが必要です。
    3. ③自己破産は返済が不可能な場合に、裁判所の許可を受けて借金をゼロにする手続きです。ただしほとんどの財産を手放さなければいけません。


    債務整理は料金の未払いや借金を解決し、再出発するための制度です。
    メリット・デメリットはありますが、生活が立ち行かなくなる前に利用を検討してください。

  3. (3)弁護士に相談する

    最初は少しの未払いであったとしても放置すればいずれ裁判となり、強制執行で財産を差し押さえられてしまうおそれがあります。

    受任通知兼請求書が届くということは、相手方が法的措置に移る前の段階にあるということです。この時点ですぐに弁護士に法律相談をしましょう。

    弁護士は書類が詐欺かどうかを確認し、本物である場合には今後どのようにして支払っていくか、債務整理をすべきかなど解決方法を考えてくれます。
    相手方との連絡や各種手続きも代行してくれるため、手間やストレスを抑えて解決を図ることができます。

4、まとめ

突然、受任通知兼代金請求書が届いて「どう対応すればいいのか」と不安を感じている方もいるでしょう。
その場合にはすぐにベリーベスト法律事務所姫路オフィスにご連絡ください。

ネット上には受任通知兼請求書に関する情報があふれていますが、サイト代金の未払いや借金には弁護士の持つ正確な知識や助言がもっとも役に立つはずですので、ぜひ当事務所までお気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています