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違法なストライキをしないための注意点やストライキ後の処遇を解説

2023年09月26日
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違法なストライキをしないための注意点やストライキ後の処遇を解説

兵庫県内で、公共事業に関するストライキなどの争議行為をする場合、10日前までに争議行為予告を兵庫県労働委員会と兵庫県知事に通知しなければなりません。兵庫県知事が公共事業に関する争議行為予告の通知を受けると、争議行為予告を公表することとなっていますが、令和2年1月からは兵庫県庁のウェブサイト上で公表されるようになり、誰でも簡単に公表内容を閲覧することが可能です。

労働条件に関する労使交渉がまとまらない場合、労働者側には「ストライキ」を実施する選択肢があります。

ただし、労働者側がストライキを実施する際には、法令上の要件を順守しなければなりません。もし違法な形でストライキを行った場合、会社から懲戒処分を受けてしまう可能性もあるので要注意です。

今回は、労働者側が適法にストライキを行うための条件や、違法なストライキを行った場合のリスク、ストライキ期間中の給与などについて、ベリーベスト法律事務所 姫路オフィスの弁護士が解説します。

1、ストライキとは?

「ストライキ」とは、労働者が会社に労働条件の維持・改善などを求めるため、一致団結して一斉に休業することを意味します。「同盟罷業」と呼ばれることもあります。

個々の労働者は、使用者に対して弱い立場に置かれがちです。そのため、労働者が個人で労働条件の維持・改善を求めても、使用者がその主張を受け入れるケースはそれほど多くありません。

そこで日本国憲法第28条では、労働者(勤労者)が団体行動をする権利を認めています。
ストライキも、憲法によって労働者に保障された団体行動のひとつです。

労働者が一致団結して一斉に休業すれば、事業運営に大きな支障が生じるため、会社にとっても非常に困ります。

労働者側としては、ストライキなどの団体行動に踏み切ることを交渉材料として、会社に対して労働条件の維持・改善などを強く主張することができるのです。

2、適法にストライキをするための条件

ストライキは、労働契約に基づく労働の義務を放棄する行為です。そのため、団体行動としてストライキを適法に行うには、厳しい条件をクリアしなければなりません。

具体的には、以下の要件をすべて満たしていない限り、ストライキは原則として単なる無断欠勤となり、労働契約違反の行為となってしまいます。

  1. (1)労働組合が実施すること

    ストライキは、労働者の団体行動権の一環として認められた行為です。

    そのため、労働者が単独でストライキを実施することはできず、労働組合が主体となってストライキを実施する必要があります

  2. (2)団体交渉上の目的事項のために遂行されていること

    ストライキは、団体交渉の目的を達成するために行われなければなりません。団体交渉に関連しない目的でなされるストライキは正当性が認められません。

    団体交渉の主な目的は、労働条件の維持・改善などです。したがって、ストライキを実施する場合には、主たる目的を労働条件の維持・改善などに置く必要があります。

    これに対して、政治的な目的をメインとする「政治スト」などは、ストライキとしての適法性が認められない点に注意が必要です。

  3. (3)正当な手段・態様によって行うこと

    ストライキを行うに当たって、労働者側が使用者側に対して暴行・傷害・器物損壊などの暴力を行使することは許されません(労働組合法第1条第2項但し書き)。

    このような実力阻止その他の働くかけを伴う労働者の団体行動は「ピケッティング」と呼ばれ、日本の憲法・労働法の下では禁止されています。

    したがって、ストライキはあくまでも「仕事をしない」というだけの平和的な手段・態様によって行わなければなりません

  4. (4)労働組合員等の過半数により決議したこと

    労働組合がストライキを実施するためには、労働組合員(または労働組合員の直接無記名投票により選挙された代議員)が、直接無記名投票の過半数により実施決議を行う必要があります(労働組合法第5条第2項第8号)。

    上記の決議要件を満たさない場合(たとえば以下に挙げるような場合)には、団体行動権に基づく適法なストライキとは認められません。

    • 労働組合幹部の独断専行によってストライキを実施した場合
    • ストライキの実施投票を記名方式で行った場合
    など

  5. (5)使用者側と十分な事前協議を行ったこと

    ストライキは、使用者に対して団体交渉に応じることを促すため、労働者側に認められた最後の強硬手段です。

    そのため、ストライキを適法に実施できるのは、使用者側が団体交渉に応じない場合や、使用者側の主張を頑として譲らない場合などに限られます。

    これに対して、使用者が労働者側の主張に十分耳を傾けている場合や、まだ団体交渉が熟しておらず、使用者側も引き続き団体交渉に応じる姿勢を見せている場合には、労働者側がストライキを断行することは認められません

  6. (6)労働協約の内容を順守すること

    労働組合は、会社との間で「労働協約」を締結することがあります。労働協約の中では、ストライキを実施する場合の要件・手続き・方法などが定められるケースも多いです。

    労働協約は、会社と労働組合の間の契約であり、双方を法的に拘束します。
    したがって、労働組合が主体となってストライキを実施する場合、労働協約で定められた要件・手続き・方法などを順守しなければなりません。

  7. (7)法律で禁止されたストライキでないこと

    公務員や一部の民間職種については、ストライキなどの争議行為が個別の法律によって禁止されています。

    一例として、以下のいずれかに該当するストライキは、適法なものとは認められないので注意が必要です。

    (例)
    ① 国家公務員法第98条第2項
    国家公務員について、ストライキを一律禁止

    ② 地方公務員法第37条第1項
    地方公務員について、ストライキを一律禁止

    ③ 労働関係調整法第36条
    工場における安全保持の施設の正常な維持・運行を停廃し、またはこれを妨げるストライキを禁止

    ④ 電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律第2条
    電気事業者による、電気の正常な供給を停止するなど、電気の正常な供給に直接に障害を生ぜしめるストライキを禁止

    ⑤ 船員法第30条
    船員による、船舶が外国の港にあるときのストライキ、または人命・船舶に危険を及ぼすストライキを禁止

    など

3、ストライキをした従業員はどうなる?

ストライキをした従業員の取り扱いは、ストライキが適法なものかそうでないかによって異なります。

また、仮にストライキが適法だとしても、ストライキ期間中の賃金は発生しなくなる点にご注意ください。

  1. (1)適法なストライキの場合|解雇などの懲戒処分は違法

    ストライキが適法である場合、会社はストライキをした従業員に対して、懲戒解雇を含む懲戒処分を行うことはできません。

    懲戒処分を行うためには、従業員に就業規則上の懲戒事由が存在することが必要です。しかし、ストライキが適法である以上、従業員には非違行為が存在しません。

    仮に就業規則において、「ストライキをしたこと」が懲戒事由として掲げられていても、それを根拠とした懲戒処分は、懲戒権の濫用として違法・無効となります(労働契約法第15条、第16条)。

  2. (2)違法なストライキの場合|懲戒処分を受ける可能性あり

    これに対して、従業員が行ったストライキが適法なものとは認められない場合、従業員は無断欠勤などの就業規則違反を犯したことになります。そのため、従業員は会社から懲戒処分を受ける可能性があります。

    なお、懲戒処分の内容(重さ)は、従業員の犯した就業規則違反の性質・態様などに釣り合ったものでなければなりません(労働契約法第15条)。

    違法なストライキの場合、従業員の果たした役割などによって、会社から受ける懲戒処分の内容が変わってくることが想定されます。

  3. (3)ストライキ期間中は無給となる

    労働契約には「ノーワーク・ノーペイの原則」が適用され、労働者が働かなかった期間については、原則として賃金が発生しません。

    有給休暇はその例外ですが、ストライキを含めたその他の休業は、ノーワーク・ノーペイの原則にしたがい無給となります

    したがって、ストライキに参加する労働者は、その月の給与が減ってしまうことを覚悟しなければなりません。

4、ストライキに関する裁判例を紹介

最後に、ストライキを理由に懲戒処分を受けた労働者が、会社に対して懲戒処分の無効を主張した裁判例を2つ紹介します。

① 最高裁昭和53年7月18日判決
ストライキを主導した郵便局員(当時は公務員)が受けた懲戒免職処分の有効性が争われた事案です。

最高裁は、ストライキの目的が賃上げなどの経済的要求にあったことを認めました。他方で、公共性の強い郵便局で再三の警告を無視して大規模に行われたことや、態様が著しく粗暴・喧騒にわたり、業務運営に深刻な影響を及ぼしたことなどを理由に挙げ、郵便局員の責任は重大であると判示しました。

そのうえで、最高裁は郵便局員が過去に7回も停職処分を受けていたことなども合わせて考慮し、懲戒免職処分を適法と結論付けました。

② 奈良地裁平成12年11月15日判決
非組合員の業務を阻害するようなストライキ、いわゆる「ピケッティング」を行ったことを理由に、労働組合員が受けた懲戒解雇処分の有効性が争われた事案です。

奈良地裁は、ピケッティングの違法性を認定しつつも、暴力行為を伴わなかったことや、会社に生じた財産的損害も僅少であったことなどを踏まえて、懲戒解雇処分を無効と判示しました。

5、まとめ

労働者がストライキを実行しようとする場合、ストライキの適法要件を満たしているかどうかを慎重に確認すべきです。もし違法な形でストライキを行ってしまうと、会社から懲戒処分を受けるおそれがあるので十分ご注意ください。

ベリーベスト法律事務所は、労働争議に関する労働組合からのご相談を随時受け付けております。会社に対して団体交渉を提案したい場合や、ストライキの実行を検討している場合には、事前にベリーベスト法律事務所 姫路オフィスへご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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