離婚調停を無視するとどうなる? 呼び出し状の概要や注意点を解説!
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姫路における平成30年の離婚件数は、1413件でした。前年は1328件だったので増加しているといえるでしょう。
離婚の方法はいくつか種類があります。もっとも穏便なのはお互いに話し合って、納得して別れることです。しかし、中には話し合いでは意見がまとまらず、調停や裁判になる方もいます。調停や裁判となると、わざわざ時間を調整して裁判所まで出向かなくてはなりません。
しかし、裁判所の呼び出しを無視したらどうなるのか、ご存じの方は少ないでしょう。そこで本コラムでは、離婚調停の場合の裁判所からの呼び出しを無視した際の、デメリットや対策についてご紹介していきます。
1、離婚調停の呼び出しとは
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(1)離婚調停とは
離婚は、多くの場合本人同士の話し合いによって成立します。これを「協議離婚」といいます。しかし、ふたりで話し合って折り合いがつかなかった場合は、裁判所での離婚手続きを行うため、まずは調停を申し立てなければなりません。調停の結果、離婚が成立した場合、「調停離婚」といいます。この調停で話し合いがまとまらない場合、離婚裁判へと手続きが進むことになるのです。
調停離婚は家庭裁判所の調停手続を利用して、離婚に向けて話し合いをする方法です。調停委員が話し合いに立ち会います。調停委員を間に挟むことで、直接本人同士が話し合いをする必要がなく、落ち着いて話し合うことが可能となります。 -
(2)調停の手順
まず、当事者の一方が家庭裁判所に調停の申し立てをします。あなたのもとへ、調停の日時や場所などを記した書類が裁判所から届いたのであれば、これが裁判所からの呼び出し状です。すなわち、調停が申し立てられたということを意味します。
呼び出し状は調停があることを事前に知らされず、突然届くこともあります。まずは落ち着いて内容を確認しましょう。書類の中には相手の主張や質問が入っている場合があり、回答の提出を求められるケースもあります。
書面に記載された期日において家庭裁判所で調停が行われることになります。待合室は、申立人とは異なる部屋が用意されていますし、調停委員がいる部屋へ交互に呼び出され、自らの主張を行うことで、話し合いが進みます。したがって、相手と顔を合わせることは原則としてありません。
調停は、多くが一度で終わることはなく、何度か行われることになります。いすれにしても、最終的に双方が合意できれば離婚は成立します。もし合意できなければ次の離婚裁判の手続きに進むことになるでしょう。 -
(3)調停で決めること
離婚調停では、離婚そのものについて話し合われる場所とお考えになるかもしれません。
しかし、離婚に伴い決めておくべき以下の内容についても話し合うことができます。- 子どもがいた場合は親権者をどちらにするか
- 子どもとの面会交流の頻度など
- 子どもの養育費
- 財産分与
- 年金分割
- 慰謝料
離婚そのものについては双方が合意しているケースでは、主にお金や親権、住宅などの条件面について話し合うことになるでしょう。さらに、以降、裁判などに進むことになった場合、調停で行われたそれぞれの主張が考慮されることになります。
2、離婚調停を無視するデメリット
離婚調停は当人同士の話し合いがうまくまとまらないときに行われるため、調停の呼出状が一方的に届く場合もあります。
離婚調停を欠席したいと思う理由はそれぞれの事情に応じてあるでしょう。しかし、離婚調停の呼び出しを無視していると、想定外のデメリットをこうむる可能性があるのです。
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(1)調停の結果に悪影響はある?
調停に出席できない理由は、記載された日付では仕事で都合がつけられない、小さい子どもがいて調停の日に面倒を見る人間を確保できない、そもそも離婚する気がないので調停に応じたくないなど、人それぞれです。
しかし、離婚調停の呼び出しを無視し続けると、調停不成立になってしまいます。それ自体に不利益はないケースがほとんどです。しかし、相手側はそこからすぐに離婚裁判の手続きに移ることが考えられるでしょう。
調停だけではなく、離婚裁判も欠席した場合は、基本的には相手の主張だけが通ってしまいます。したがって、慰謝料などにおいても自分に不利な内容で判決が出てしまうケースがほとんどです。
裁判で出た内容は強制力を持ちますので、これに従わないと給与の差し押さえなどが行われてしまいます。調停に出ないことはできますが、裁判でもそれを続けていると不利益をこうむる可能性が高いといえるでしょう。 -
(2)制裁が科される可能性
調停不成立になるだけなら無視をしても問題ないと思われるかもしれません。しかし、調停を欠席し続けると、家庭裁判所から出頭勧告を受けます。
この連絡を無視してさらに欠席し続けると、5万円以下の過料が命じられることがあります。 -
(3)裁判官や調停委員の心証が悪くなる
前述したように、離婚調停では離婚そのものだけでなく、親権をどちらが持つか、財産分与などについても話し合われます。
調停の無断欠席を続けると、裁判官や調停委員からの信頼性が低くなる可能性は否定できません。たとえば、親権者として認められにくくなるなどのデメリットが生じるでしょう。
また、裁判に移行した場合は、財産分与などは調停での主張を踏まえて判断されることもあります。したがって、調停の呼び出しを無視し続けることによって、相手側の主張が一方的に通ってしまう可能性が高くなるといえるのです。
3、離婚調停を欠席したい場合にすべきこと
前述したように、調停の呼び出しを無視して欠席することはあまり得策ではないことをご理解いただけたでしょう。しかし、指定された期日にどうしても都合がつけられないため、やむなく離婚調停を欠席したい場合はどうすればいいのでしょうか。
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(1)調停期日変更申請をする
できるだけ早めに調停期日変更申請を裁判所に出しましょう。
第1回は申立人の都合で決められるため、変更を聞いてもらえる可能性が高いといえます。ただし、必ずしも変更が認められるわけではありません。その場合は、欠席となり、申立人側の主張を聞く形で手続きは進んでしまいます。 -
(2)裁判所に電話をする
調停期日変更申請ができなかった、もしくは直前で都合が悪くなった場合は裁判所に連絡をして、事情を伝えましょう。
少なくとも、無断で欠席した場合よりも悪い印象を与えることはないでしょう。
4、裁判所の呼び出しを無視してしまった場合の対処法
すでに、裁判所から届いた調停の呼び出しを無視してしまっている方もいるかもしれません。そのようなときは、どのように対応すればよいのかについて、解説します。
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(1)後からでも裁判所に連絡をする
第1回の離婚調停については、申立人の都合で期日を決めていますので、無断欠席しても影響は少ないと考えられます。
しかし、結果的に無視してしまうと印象はよくないものです。後々のことを考えて、裁判所には後からでも連絡を入れておいたほうがいいでしょう。 -
(2)弁護士に依頼する
平日の日中に開催される調停に出向く時間が取れない、そもそも裁判所に行くこと自体、気がすすまないという方は、弁護士に対応を依頼することをおすすめします。
弁護士ならば代理人として調停に出向き、相手側との交渉もしっかりと行うことができます。また、法的な専門知識がありますので、必要な書類の作成なども任せられ、手続きをスムーズに進めることができるでしょう。調停がうまくまとまらずに裁判に進んだ場合にも、代理人として出廷することが可能です。
調停の呼び出し状を受け取って戸惑っている方は、そのまま無視をするのではなく、すぐにでも弁護士に相談してみることをおすすめします。
5、まとめ
離婚調停の呼び出しを受けた場合、どのように対処すべきか説明しました。離婚問題を話し合っていたところに、裁判所から呼び出しを受ければ戸惑うことでしょう。出席せずに無視をしてしまいたい気持ちになる方もいるかもしれません。
しかし、そのまま裁判所の呼び出しを無視していると、思わぬ不利益をこうむる場合があります。そうならないためにも、裁判所から離婚調停の呼び出し状を受け取った場合は、すぐにでも弁護士に相談しましょう。何をどうすべきか、適切なアドバイスを受けることができます。
ベリーベスト法律事務所 姫路オフィスでも、離婚調停の相談をお受けしています。裁判所から呼び出しを受けて困っている、もしくは離婚の話し合いがうまくまとまらないなどでお困りの方は、お気軽にご相談ください。離婚問題対応への知見が豊富な弁護士が、最善の解決を目指して尽力します。
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