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悪意の遺棄を理由に離婚した場合、慰謝料は請求できる? 弁護士が解説

2019年10月28日
  • 離婚
  • 悪意の遺棄
  • 慰謝料
悪意の遺棄を理由に離婚した場合、慰謝料は請求できる? 弁護士が解説

姫路市が公開している統計情報によると、平成29年には1日あたり3.6組が離婚しているそうです。平成元年のころは1日あたり2.5組だったとのことで、離婚する夫婦は増加傾向にあることがわかります。

離婚を考えているのであれば、「離婚事由」というものがあることをご存じの方もいるでしょう。しかし、その中にある「悪意の遺棄」について、どの程度であれば該当するのかなどの判断は難しいものです。また、該当する場合は慰謝料を請求できるかどうかも気になるところでしょう。

本コラムでは、法的な離婚原因になる「悪意の遺棄」について、ベリーベスト法律事務所 姫路オフィスの弁護士が解説します。

1、「悪意の遺棄」の基礎知識

「悪意の遺棄」とは、どのようなことをいうのでしょうか?

  1. (1)法定離婚事由としての「悪意の遺棄」

    民法ではお互いの同意がなくても離婚が認められる理由として、民法第770条1項において以下の5つの理由を定めています。

    1. ①不貞行為
    2. ②悪意の遺棄
    3. ③生死不明になって3年以上経過
    4. ④強度の精神病
    5. ⑤その他の婚姻を継続し難い重大な事由

    これらは「法定離婚事由」と呼ばれるものです。この5つの理由に当てはまる行為を相手方がしているのであれば、相手方が基本的に有責配偶者となります。たとえ相手が離婚に合意していなくても、あなたが離婚を望み、相手方が有責配偶者であることを証明できれば、裁判上において離婚が認められることになります。また、有責配偶者側に対して慰謝料を請求できる可能性が高いでしょう。

  2. (2)悪意の遺棄の定義

    前述の通り、「悪意の遺棄」とは、裁判によって離婚が認められる理由のひとつです。次に「悪意の遺棄」とは具体的にはどのような行為を指すのかについて解説します。

    悪意の遺棄の定義を知る前に、夫婦における法的な義務について理解しておく必要があるでしょう。そもそも、民法第752条において「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない」と定められています。婚姻中の夫婦は、一緒に暮らして互いに協力し、助けあわなければならないと民法は定めているのです。これらはそれぞれ、「同居義務」「協力義務」「扶助義務」と呼ばれています。

    これら3つの義務を、正当な理由なく一方的に果たしていないのであれば、民法第752条の規定に反しているといえます。悪意の遺棄とは、この民法第752条に違反する行為が該当します。

2、悪意の遺棄にあたるケースとは?

では、具体的にどのような行為が悪意の遺棄にあたるのでしょうか。

  1. (1)同居義務違反

    正当な理由がない状態で一方的に別居をすると、同居義務違反に該当します。ただし、別居のすべてが悪意の遺棄になるわけではありません。介護のためや単身赴任のための別居の場合は、裁判に訴えても正当な理由として判断されるでしょう。また、相手のDVから逃れるためという事情も正当な理由として成立します。

    上記のような正当な理由がなく、たとえば愛人の家に行ったまま帰ってこない、意味なくひとり暮らしをはじめた、たびたび家出をするなどの状態であれば、「悪意の遺棄」にあたると可能性が高いでしょう。

  2. (2)協力義務違反

    協力義務違反に該当する可能性がある代表的な行為は以下の通りです。

    • 配偶者が家事を行えない状態であるにかかわらず一切手伝わない、もしくはすべてひとりで行うよう強制する
    • 配偶者を言葉などで追い詰めて追い出す、追い出そうとする
    • 健康で働ける状態であるにもかかわらず働かず、家事もしない
    • ある程度の所得があるのに、所得の少ない配偶者に生活費を渡さない

    いずれも、夫婦で助けあうべきことを助けなかったとみなされれば、悪意の遺棄があったと判断されるでしょう。

  3. (3)扶助義務違反

    前述の通り、そもそも夫婦はお互いに扶養する義務があります。ここに男女差は関係ありません。そして、どの程度扶養すべきかといえば、基本理念としては「相手にも同じ生活水準を与える」となっています。これを「生活保持義務」といい、気分が向いたときだけお金を渡しているからOKという性質のものではありません。配偶者にも自分自身と同じ生活水準を維持させられるだけのお金を渡したり、家事をしたりしあう義務があるのです。

    したがって、合意したうえでの別居であっても、同居している状態であっても、収入が少ない相手方に生活費を渡した実績がなければ、「悪意の遺棄」に該当する可能性があります。別居は生活費を渡さない事由にはならず、受け取るべき費用を受け取れなかった側は、慰謝料のほかに「婚姻費用分担請求」を行うことができます。

3、慰謝料請求には証拠が必要

相手方に不法行為があったとしても、それを証明するのは訴える側、つまり慰謝料を請求したり、離婚を求めたりする側になります。これは、「悪意の遺棄」に限りません。

悪意の遺棄を証明するためには、以下のような証拠を集めておく必要があるでしょう。

●別居している事実があるとき
相手が住民票を移していれば現在の住民票(転居日などがわかるもの)や別宅の賃貸契約書、帰宅を促しても拒む様子がわかるメールや手紙、ラインをはじめとしたSNSのやりとりを写真に撮ったものなど。

●生活費を払ってもらえないなどの事実があるとき
通帳入金情報、家計簿、日記、生活費を求めても拒否されていることがわかるメールやSNSをはじめとしたやりとりのログや撮影したもの。

日記やSNSなどを証拠にする場合は、具体的にいつからどのような状態で悪意の遺棄を受けているのかが明確にわかるものが証拠として適しています。日記やメモでも日付をつけて積み重ねていけば、立派な証拠として裁判所に提出できる可能性が高いでしょう。なお、ラインなどのログは、一度消してしまうと復活が難しいものです。数ヶ月ごとにサーバー内の記録が消されてしまうケースが多いため、たとえ裁判所などを通じて過去ログの開示を求めたとしても、非常に直近のログしかとれず、証拠にはできないことが多々あります。

確実な証拠にしておくのであれば、写真などを撮っておくことをおすすめします。

4、悪意の遺棄で離婚する際の流れ

たとえ離婚しなくても、悪意の遺棄を理由にして慰謝料を請求すること自体は可能です。しかし、本コラムでは離婚とともに慰謝料を請求する際の流れについて解説します。

①証拠を集めておく
まずは相手が警戒をする前に、「悪意の遺棄」を証明する証拠を集めておきましょう。気づかれてしまうと、証拠を隠滅されたり、証拠を残さないように工作されたりする場合もあります。その前に進めておく方が、より多くの証拠を集めることが可能です。

②離婚に向けての話し合い
証拠が集まったところで、離婚に向けての話し合いを進めることになります。離婚するためには話し合いをして決めるべきことがいくつかあります。財産分与、養育費、親権などです。もちろん、ここに慰謝料も入ってきます。

③離婚協議書
離婚するにあたり、養育費、慰謝料などの金額において双方の合意を得られたのならば、それを離婚協議書にまとめておきましょう。作成した協議書を、強制執行認諾条項をつけた公正証書にしておくと、不履行があったときの回収に優位です。

④離婚調停と裁判
話し合いで条件などに折り合いがつかなければ、家庭裁判所に離婚調停を申し立てることになります。それでも離婚請求がまとまらなければ、訴訟という形で離婚裁判となります。

たとえ相手が否定していたとしても、裁判所で「悪意の遺棄」が認められれば、慰謝料の支払い命令が出るケースがほとんどでしょう。

5、慰謝料を得るために弁護士へ依頼するメリット

「悪意の遺棄」を理由に慰謝料を請求するのであれば、弁護士に相談しながら進めることを強くおすすめします。

「悪意の遺棄」をはじめとした不法行為の相手方との話し合いは、非常に困難になるケースが多々あります。裁判までもつれる可能性もあるでしょう。当初より弁護士を依頼していれば、どの証拠が法的に有効なのかなど、知見に基づいたアドバイスが可能です。さらに、協議離婚の段階から、弁護士があなたの代理人として交渉を進めることができます。あなた自身は相手と会う必要は一切ありません。その点だけでも、心理的負担が大きく軽減できるでしょう。

なお、離婚が成立するまでは夫婦であることに変わりがありません。そこで、扶助義務を法的理由にして、相手には「婚姻費用分担請求」として生活費を要求できます。支払いを渋る場合には、「婚姻費用分担調停」を起こすことが可能です。調停を通じて認められた金額であれば、相手に対する支払い命令を裁判所から出してもらえます。

弁護士に相談いただければ、あなた自身がこれ以上つらい思いをできるだけしないよう、将来の生活まで考慮しながら交渉を進めることが可能です。まずは相談してみてはいかがでしょうか。

6、まとめ

「離婚したいけれど生活費が……」と立ち止まってしまう前に、ベリーベスト法律事務所 姫路オフィスでご相談してください。配偶者の行為が「悪意の遺棄」に該当するのであれば、あなたから離婚を申し立てるだけでなく、慰謝料を請求することも可能になるでしょう。離婚問題に対応した知見が豊富な弁護士に相談することによって、前向きな未来についてのアドバイスが可能です。まずは気軽にお問い合わせください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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