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面会交流中に子どもの連れ去りを受けた! 取るべき行動を弁護士が解説

2020年04月15日
  • 親権
  • 面会交流中
  • 連れ去り
面会交流中に子どもの連れ去りを受けた! 取るべき行動を弁護士が解説

離婚に向けて協議を進めていく中で、面会交流の取り決めにおいて夫婦が衝突してしまうケースは少なくありません。姫路市では、ホームページ内の「養育費等に関する専門相談」と題されたページで、面会交流に関する法的なアドバイスを実施していることを公表しています。自治体が法律相談を案内するほどに「衝突しやすい問題なのだ」といえるでしょう。

面会交流中のトラブルとして代表的なものに「連れ去り」があります。もし面会交流中に相手が「子どもは返さない」と言い出して連れ去られてしまったら、どのように対処すべきなのでしょうか? このような事態が予測できる場合には、面会交流を拒否できないのでしょうか?

姫路オフィスの弁護士が、面会交流中の連れ去りについて詳しく解説します。

1、面会交流へは同席すべき?

子どものいる夫婦が離婚に至った場合は「面会交流」について取り決めることになります。離婚によって夫婦の関係が解消されたとしても、子どもの親であるという事実にかわりありません。親が子どもに会いたいと思うのと同様に、子どもにとっても親からの愛情を感じることができる大切な機会なので、面会交流は当然の権利として認められています。

しかし、いくら「子どものため」「親として当然の権利」といわれても、離婚した相手と子どもを面会させることに抵抗を感じる方は少なくないでしょう。しかし、離婚時に面会交流を認めていれば、取り決めに反して一方的に「会わせない」と拒否することはできません。

では、離婚した相手が子どもと面会する場合に、行動の監視や連れ去りを防ぐ目的で同席することはできるのでしょうか?

  1. (1)「同席しない」と決まっていない限り同席は可能

    離婚に際して面会交流の取り決めを行う場合は、面会の頻度、場所、方法などについて協議が進められます。ここで「面会交流の際は、監護親は同席しない」という取り決めがない限り、同席は基本的に可能です。

    ただし、非監護親の立場からすれば「取り決めがないので同席を認めない」と主張することも可能です。もし、このような主張に対して「同席を認めないなら面会交流はさせない」との対応を採っていると、相手方が裁判所に訴えて強制執行や慰謝料請求を受けるおそれがあります。

    面会交流への同席は、個人的な感情だけでなく「子どものため」を最優先に考えて判断するべきでしょう。

  2. (2)試行面接を利用する

    非監護親との面会交流に不安を感じる場合は「試行面接」を利用するとよいでしょう。

    試行面接とは、面会交流の取り決めを行う前段階で、裁判所の調査官による立ち会いのもと、裁判所の施設内で子どもとの試験的な面会交流を実施する方法です。試行面接には、調査官だけでなく監護親の同席も可能なので、面会交流の具体的な方法等を決める際の参考になり得ます。

2、面会交流中の連れ去りは犯罪になる?

非監護親との面会交流中に子どもが連れ去られてしまったというトラブルは少なくないようです。非監護者としては「もっと一緒にいたい」「帰したくない」という気持ちがあるのはいわば当然ですが、非監護者による子どもの連れ去りは犯罪に該当し得る行為です。

  1. (1)未成年者略取・誘拐罪の可能性がある

    面会交流中に子どもを連れ去った場合、連れ去りをした非監護者の行為は、刑法第224条の「未成年者略取・誘拐罪」に該当する可能性があります。

    未成年者略取・誘拐罪は、未成年の子どもを従前の生活環境から離脱させて、自己または第三者の支配下においた場合に成立します。「略取」とは暴行・脅迫を用いた場合で「誘拐」とは欺罔(ぎもう)や誘惑を用いて連れ去った場合を指しています。端的には、無理やり連れ去れば略取に、嘘や誘惑を使って子どもをだましたうえで連れ去れば誘拐になると考えればよいでしょう。

    ここで問題となるのは、連れ去った者が子どもの「親」でもあるという点です。連れ去りをした非監護者としては「自分も子どもの親だから連れ去ったとしても違法ではない」と考えるかもしれません。

    ところが、離婚調停中に夫が妻のもとで生活していた2歳の幼児を連れ去った事件において、最高裁判所は、「家族間における行為として許容されるものではなく、未成年者略取罪の成立は明らか」という判決を下しています(最高裁平成17年12月6日)。

    この事件は離婚調停中に発生したもので、夫と妻はいずれもが親権をもつ「共同親権者」にあたります。連れ去りを実行した夫も親権者でありながら、妻のもとから連れ去った行為が略取・誘拐と判断されたことは注意が払われるべきです。

  2. (2)監護養育の現状が問われる

    前述の事案において、最高裁判所は「たとえ親でも連れ去り行為に犯罪が成立する」という内容の判断を下しましたが、必ずしも子どもの連れ去りが犯罪に該当するとは断言できません。

    ご紹介した判例では、次の状況があったために未成年者略取罪が成立したと判断されました。

    • 連れ去りが監護養育のうえで必要だという特別な事情はなかった
    • 連れ去りの方法が粗暴・強引だった
    • 連れ去りを受けた子どもが幼く十分な判断能力がなかった
    • 連れ去り後の監護に見通しがなかった


    たとえば、監護親による監護・養育の状況が悪く「子どもが健全に育つには連れ去ってでも監護親と引き離す必要がある」といったような事情があれば、違法性が否定される可能性もあります。

    すべての「連れ去り」が未成年者略取・誘拐罪に該当するわけではないという点には注意が必要です。

3、連れ去られた子どもを取り戻す方法

もし、子どもの連れ去りを受けてしまったら、何としてでも子どもを取り戻したいと考えるのが当然です。面会交流中に連れ去られた子どもを取り戻す方法について解説します。

  1. (1)自力で取り戻すのは避けるべき

    面会交流中に連れ去りを受けたからといって、さらに自力で取り戻すようなことをするのは避けましょう。監護親としては「連れ去られた子どもを取り戻すのは当然」とも思えますが、わが国の法律では自力救済が許されていません。

    連れ去られたからといって子どもを無理やり取り戻せば、生活環境が転々としてしまい子どもに困惑が生じます。子どもの健全な成長に悪影響を与えるため、たとえ面会交流中に連れ去りを受けたとしても自力で取り戻すのは避けましょう。

  2. (2)子の引き渡し審判の申し立て

    面会交流中の子どもを連れ去られた場合は、法律の手続きによって取り戻すのが賢明です。具体的には、裁判所に「子の引き渡し」について申し立てることとなります。

    裁判所の手続きには、当事者双方の話し合いを中心とした「調停」があり、子の引き渡しについても調停による取り決めが可能です。ただし、調停は1か月に1度程度しか開かれず、早期解決には不向きです。解決までに時間がかかっていると、連れ去られた子どもは新たな生活になじんでしまうため、早急に子どもを取り戻す手続きを取る必要があります。

    子の引き渡しは「審判」を申し立てると同時に、一般的には「審判前の保全処分」も申し立てることになります。審判前の保全処分が認められれば、早期に子どもを取り戻すことが可能です。

  3. (3)人身保護請求の申し立て

    連れ去られた子どもを取り戻すもうひとつの方法として「人身保護請求」の申し立てが考えられます。

    人身保護請求とは、法的な手続きによらないまま身体の自由を拘束されている人の救済を求めるもので、子どもの引き渡しにもよく利用される手続きです。原則として弁護士を代理人として請求する必要があるので、早急に弁護士に相談することをおすすめします。

4、子どもの連れ去りを受けたらすぐに弁護士に相談!

面会交流中の子どもが連れ去りを受けたら、自力で取り戻すのは禁物です。はやる気持ちを抑えて弁護士に相談しましょう。

  1. (1)裁判所への手続きがスムーズ

    面会交流中の子どもが連れ去られた場合、裁判所に「子の引き渡し審判」を申し立てる必要があります。

    裁判所への手続きでは、なぜ「子の引き渡し」が必要なのかを具体的に説明し、その説明を明らかにする証拠を添える必要があるので、同じようなケースで請求した経験がないととても難しく感じるでしょう。

    弁護士に相談することによって、子の引き渡し審判によって連れ去られた子どもを取り戻すことができるかどうかについてのアドバイスが受けることが可能です。さらに弁護士に依頼することによって、申立手続において代理人として対応してもらうこともできます。

  2. (2)面会交流の禁止に向けたサポートが受けられる

    無事に連れ去られた子どもを取り戻すことができても安心できません。今後の面会交流で、再び連れ去りが発生する危険があるからです。

    子どもに対する虐待の事実があった、子ども自身が面会交流を嫌がっているなどの状況があれば、面会交流の禁止・制限は認められやすくなります。

    面会交流の禁止や制限に向けた手続きも、やはり数多くの経験を積んだ弁護士のサポートが必要です。再び子どもの連れ去りが起きないように、弁護士に相談して対応策を講じておきましょう。

5、まとめ

面会交流中の子どもが連れ去られてしまえば、監護親として育ててきた側は怒り心頭になり、無理やりにでも取り戻そうと考えられるかもしれませんが、わが国において自力救済が認められない以上、子どもを取り戻すためには法的な手続きを踏むべきです。

子どもの連れ去りが発生したら、自分自身で行動を起こす前に弁護士に相談することをおすすめします。法律の手続きによって子どもを取り戻すだけでなく、今後の面会交流についても禁止や制限を設けるためのサポートが受けられるでしょう。

ベリーベスト法律事務所・姫路オフィスでは、面会交流中の子どもを連れ去られたなどのケースを含む離婚・親権・面会交流に関するトラブルの相談を受付けています。経験豊富な弁護士が、トラブルの経緯を詳しくうかがったうえで最善の方法を提案し、全力でサポートします。まずはお気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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