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子どもの認知をせずに関係を清算したい! 養育費の一括払いで可能?

2023年09月19日
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子どもの認知をせずに関係を清算したい! 養育費の一括払いで可能?

家庭裁判所の調停では、「婚姻外の男女間の事件」についても扱われています。姫路市を管轄とする家庭裁判所 姫路支部では、令和4年度中に4件の調停が行われました。

たとえば、不倫関係を続けていたものの相手から妊娠を突然告げられた場合、離婚して愛人と結婚するつもりがなければ、事情によっては認知をしたくない方もいるでしょう。また、養育費を一括で支払って関係を清算したいと考えられる場合もあると考えられます。

本コラムでは、そのようなケースで発生する法的な問題点と適切な対応方法について、ベリーベスト法律事務所 姫路オフィスの弁護士が詳しくご説明します。

1、認知を拒めないケース

愛人女性が妊娠した場合、必ずしも認知をしなければならないわけではありません。しかし、相手女性と話し合いもせずにいると、相手から強制認知の訴えを起こされ、結果として裁判所から認知を命じられる可能性があります。ここでは、認知の具体的な方法と、認知を拒めない場合について説明します。

  1. (1)認知とは

    認知とは、戸籍上は結婚していない男女間に生まれた子どもと、その父または母との間に、法的な親子関係を成立させる行為のことです

    婚姻関係にある男女の間に生まれた子どものことを嫡出子といいます。夫婦の間に生まれた子どもは、出生時から法律上の両親が存在します。他方、婚姻関係にない男女間に生まれた子どもは、非嫡出子と呼ばれます。非嫡出子の場合、母親は出産した事実によって当然明らかですが、父親が法律上は存在しません。この場合に、子どもが自分の子どもであると法的に認める行為を認知といい、これによって初めて、法律上の父親が決まるのです。
    父親が子どもを認知すると、法律上の親子関係が生まれます。それによって、父親には養育費を支払う義務が生じます。また、父が死亡した場合、認知された子どもも相続の権利を持ちます。夫婦の間に子どもがいる場合、その子どもと不貞相手の子どもとは、同じ割合で相続権を有します。このように、認知によって家族関係に大きな影響が出ることを、まずはしっかり理解しておきましょう。

  2. (2)任意認知

    父親が自らの意思で子どもを認知する方法です。具体的には、自分で市町村役場に認知届を出して行う方法と、遺言による認知があります。

  3. (3)認知調停

    認知をしてほしい側(母親・子ども)が家庭裁判所を通じて父親に認知を求める方法です。女性が妊娠中でも、認知を求める調停を起こすことは可能です。認知調停では、当事者同士が直接顔を合わせることは原則としてありません。双方が個別に調停委員から話を聞かれる形で進められます。待合室も別々に用意されています。調停の話し合いの中で、父が自分の子どもだと認めた場合、家庭裁判所がその合意が正当であると認めれば、合意に沿った審判がなされます。

    他方、父親が断固として認知を拒む場合は、裁判所が勝手に審判を下すことはなく、調停は終了します。それでも、相手女性や子どもが認知を求める場合は、認知の訴えを提起することになります。

  4. (4)強制認知

    認知調停をしても父親が認知に応じないと、相手は認知の訴えを起こしてくる可能性が高いと考えられます。これが「強制認知」の手続きです。強制認知とは、男性側が自分の子どもだと認めない場合でも、裁判所が強制的に、男性と子どもとの親子関係を認める方法です。

    なお、強制認知は、女性が出産した後から可能になります。なお、父親である男性が死亡した後でも、死亡後3年以内なら訴えを起こすことが可能です。父親が死亡してしまった後は養育費の請求はできませんが、父親の相続権を子どもが主張できるため、父の死後でも認知の訴えは認められているのです。

    認知の訴えでは、認知を求める側が、男性との関係や妊娠の事情などを具体的に主張立証します。また、DNA鑑定も大きな決め手となります。おおむね、半年から1年程度をかけて、子どもが本当に男性の子どもなのかを裁判所が判断し、判決で強制認知の可否が決定されます。認知を認める判決が確定すると、その内容が戸籍に記載され、男性側から認知を拒むことはできません。

2、認知なしで養育費一括払いすることに法的な問題は?

1章を踏まえ、認知をせずに養育費だけを一括払いすることについて法的な問題がないのかについて、解説します。

  1. (1)認知と養育費の関係

    養育費は、未成熟子の養育監護に必要な生活費として、実際に監護養育していない側の親から、監護養育を行っている親に支払われる金銭のことをいいます。そして、養育費は、法律上の親子関係がある場合だけ、支払い義務が生じます。

    結婚している夫婦間に生まれた子どもは、父親とも母親とも法律上の親子関係があります。この親子関係は親が離婚しても変わりません。したがって、離婚後は、子どもを引き取らなかった親が養育費を支払います。他方、もともと結婚していない男女の間に生まれた子どもについては、認知をしなければ父と子どもの間に法律上の親子関係がありません。したがって、認知をしなければ父親は養育費を支払う義務がありません。ただし、認知をしなくても、養育費に相当する金員を自主的に支払うことは可能です。

    なお、養育費は、原則として、未成熟子が成人になるまでの期間、ずっと支払わなければなりません。そして、養育費の支払いは、毎月払いとするのが原則です。実務上も、離婚した夫婦のほとんどが、養育費を1か月に一度の振り込みなどで支払う方法で取り決めをしています。家庭裁判所の調停や審判で養育費を決める場合も、原則として毎月の支払額を決めています。

  2. (3)養育費の一括払いは可能か

    このように、養育費の支払いは月払いが一般的です。ただし、必ずしも毎月払いにしなければならないわけではなく、話し合いによって別の支払い方法をとることもできます。

    つまり、養育費を一括払いとするという合意さえあればよく、その合意は法的にも有効だと考えられています。養育費を一括で支払うメリットは次のような点でしょう。

    • 毎月決まった金額を銀行から振り込む手間がなくなる
    • 一括払いにすることで、その後の不貞相手や子どもとの関係を清算できる可能性がある
    • 一括払いのほうが、相手にとって大金に感じられ、支払総額を低くおさえる交渉ができる


    また、受け取る側には次のようなメリットが考えられます。

    • 毎月払いだと途中で支払いが止まるかもしれないが、一括払いだとそのリスクがない
    • まとまった金額を受け取ることで当面の生活が安定する
    • 今後、父親に万が一のことがあった場合や父親に収入がなくなった場合でも、先に一括で受け取っておけば安心である


    気になる税金面ですが、社会通念上適当と認められる範囲であれば、所得税や贈与税などの税金は発生しません。しかし、金額が大きくなると、受け取った側が贈与税を支払う可能性が出てくるでしょう。このため、一括で相手に直接支払わず、一括分を信託銀行に預けて定期的に振り込んでもらうという手段を検討するケースもあります。

3、養育費を一括払いするデメリット

養育費を一括払いする場合のデメリットについても確認しておきましょう。

  1. (1)一括払い分を取り戻せない

    養育費は、支払う側と受け取る側の経済的な実態を反映して決定されます。支払う側の収入が多く、受け取る側の収入が少なければ、養育費は多額になるわけです。しかし、人生は山あり谷ありで、その後の収入に大きな変化が起きる可能性があります。もちろん、多少の変動は当然のことですが、大幅な事情変更があった場合は、当初取り決めていた養育費の金額を変更することが法律上認められています

    養育費の変更が認められるケースは次のような場合です。

    • 支払う側が多額の収入を得ていたために多額の養育費を取り決めたが、事業に失敗したり、病気になったりして収入が0円になり、今後も収入が回復する見込みに乏しい場合
    • 養育費を支払う側に扶養家族(たとえば夫婦間の子ども)が増えた場合
    • 養育費を受け取る側が結婚し、子どもが新しい父親と養子縁組をした場合


    このように、養育費を減額できる事情があった場合、毎月払いの場合は、今後支払う養育費を減額するように求めることができます。しかし、一括払いした場合には、支払い済みの養育費の返還を求めることはできません。一度払った養育費は、その後の事情変更に関わらず取り戻せないことを覚悟しておきましょう。

  2. (2)多額の出費にせまられる

    養育費は、子どもが生まれてから原則として成人するまでの全期間分について支払い義務があります。これをまとめて前払いするとなると、相当の金額になる可能性があります。男性側の収入が多い場合には、特に多額の一時金を支払うことになるでしょう。上記の通り、一度払った養育費は取り戻せませんので、金額については慎重に検討すべきでしょう。

  3. (3)養育費の追加を求められる可能性がある

    一括払いをしたからといって、その後は全く知らん顔でいいとは限りません。一括払いをした養育費を途中で使い果たしてしまった女性が、数年後になって追加の養育費を求めてくる可能性は否定できないからです。養育費として渡したお金がどんなふうに使われるのか、男性側は管理できません。したがって、一括払いで養育費を払ったとしても、その後から追加で請求されるリスクが残る点にも注意が必要です

4、トラブルになったときは弁護士に相談を

不倫相手の女性が妊娠すると、焦ってしまい冷静な判断が難しくなることがあります。周りに相談することもできず、とはいえ、妊娠期間はどんどん過ぎていき、話し合いの適切な時機を逃してしまう可能性もあります。認知や養育費の問題は、法的な問題でもありますが、相手女性の心理状態にも十分配慮する必要があります

特に、認知をしたくない場合には、女性と十分に話し合ったうえで、しっかりとした金銭的な支払いも必要になるでしょう。こうした話し合いをご自身で行うことは困難ですし、判断を誤るリスクもあります。

弁護士に相談することで、適切な対処方法がわかり、また、冷静に事情を判断することもできます。また、交渉を弁護士に任せることで精神的負担から解放されるメリットもあります。さらに、養育費の一括払いでは、支払いの合意や支払ったという事実を明確に証拠として残すことが不可欠です。そのためにも、事前に弁護士に相談し、将来の問題を起こさないようにしっかりとした書面を作成しておくことが何よりも重要です。

5、まとめ

本記事では、不貞相手の女性が妊娠したが認知をしたくない場合の流れ、そして、養育費の一括払いの法的な問題について解説しました。妊娠中の女性は心理的に不安定となる場合もあり、話し合いは難しくなりがちです。特に、認知を拒む場合は、協議の難航が予想されます。なるべく早い段階で弁護士に相談し、適切な対応方法をとることをおすすめします。

また、養育費の一括払いは法的に認められていますが、金額の決め方や一括払いのリスクについて十分に理解して進めることが重要です。ベリーベスト法律事務所 姫路オフィスには、認知や養育費一括払いのケースについても、知見が豊富な弁護士が多数在籍しています。ぜひお早めにご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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