債務整理(任意整理)の手続きの流れ。 知っておきたい基礎知識
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姫路市にお住まいで借金などの債務を抱えている方の中に、どうしても返済が追い付かないため法的な手段による債務整理を考えている方もいるかと思います。
そこでおすすめしたい債務整理の方法が、「任意整理」です。法的に債務整理の方法はいくつかありますが、任意整理を活用したほうがよいケースが多々あることをご存じでしょうか。
本コラムでは、任意整理の手続きと流れから注意点など、任意整理についてぜひとも知っておきたい基礎知識について、ベリーベスト法律事務所 姫路オフィスの弁護士が解説します。
1、任意整理とは?
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(1)任意整理の基礎知識
個人の債務整理の方法には、主に任意整理、特定調停、個人再生、自己破産があります。このうち任意整理とは、債権者と債務者双方による話し合いを経て、返済する債務の金額や返済期間、返済方法などに合意したうえで債務を返済していく方法です。
任意整理をすることで、今後支払う予定の利息分や滞納中に発生した遅延損害金などを減額できる可能性が出てきます。債務者は、交渉のうえ確定した債務額を3年程度で返済し、債務を整理します。任意整理を活用することで今までよりも債務を返済しやすくなることが期待できるのです。 -
(2)任意整理を選ぶ人とは?
任意整理を選ぶのは「一定の収入があり、毎月の返済金をある程度用意できる」「返済の意思がある」方です。任意整理とは、あくまで自助努力による債務返済方法となります。無収入で債務返済のためのお金を用意することがそもそも不可能な場合は、自己破産を検討せざるを得ません。
他方、たとえ自己破産を選択したくとも、債務の原因が浪費やギャンブル、FXや株式などの投機的な金融取引の場合は「免責不許可」となり、債務免除にはなりません(破産法第252条第1項)。このため、債務の発生原因が免責不許可事由に該当すると考えられる場合は、あえて任意整理を選ぶ人が多いようです。
2、任意整理の手続きの流れ
任意整理は、基本的に以下の流れで進めていくことになります。
- ① 債務額の確定
- ② 債務者による債務弁済計画案(任意整理案)の策定
- ③ 債権者から債務弁済計画案の同意書(承諾書)を確保
- ④ 債権者と「和解契約」の締結
- ⑤ 債務の返済
3、任意整理のメリットとデメリット
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(1)任意整理のメリット
任意整理には裁判所が介入しないため、個人再生や自己破産と異なり裁判所へ予納金を収めるなど、裁判所による手続きを行う必要がありません。また、ローンが残る自宅には住み続けたいのでしっかり支払いを続けたい、などの意図がある場合は、債務整理の対象から外すことができます。
財産を強制的に手放す必要はなく、住所氏名を官報に掲載されることもありません。
そのため、警備員や生命保険外交員のように破産が欠格事由となっている職業に就いている人でも、任意整理では欠格事由になりません。この点は、ほかの借金の整理方法である個人再生や自己破産と比べて大きなメリットとなるでしょう。 -
(2)任意整理のデメリット
任意整理では債務者自らが債権者と債務の減額や返済方法について交渉しなければなりません。また、自己破産と異なり、任意整理は債務者が提案する「債務弁済計画案」(任意整理案)に対して、債権者の合意を得ることが前提です。
債権者と比べて債務者の立場は弱いため、個人で対応しようとした場合、交渉が難航し思ったような結果が得られない場合もあります。
4、保証人への影響は?
任意整理では保証人に対する「附従性の原則」(債務者に生じた事由は保証人にもその効果をおよぼすこと)が、そのまま適用されます。
したがって、債権者から債務の減額や返済方法について同意が得られれば、保証人に対してもその効力がおよびます。その結果、債務者が債務弁済計画案(任意整理案)のとおりに返済を続けているかぎり、保証人が債権者からそれ以上の追及を受けることはなくなるのです。
このことから、債権者から保証人への責任追及や請求を避けたい場合は、任意整理を選ぶとよいでしょう。
5、任意整理の費用
任意整理を弁護士に委任した場合の費用は、日本弁護士連合会の「債務整理事件処理の規律を定める規程」により、以下のように定められています。
- 相談料(弁護士に相談する際に発生する費用)
- 着手金(弁護士が任意整理の案件を受任する際に発生する報酬、債権者との交渉成立・不成立は関係なし)
- 解決報酬金(任意整理について、債権者と合意したことにより発生する報酬金)……原則1件あたり2万円以下、ただし商工ローンについては5万円以下
- 減額報酬金(債権者が主張する債権額と、実際に支払った返済額との差額(減額分)に対する報酬金)……減額分の10%以下
- 過払い金報酬金(回収に成功した過払い金額に対して発生する報酬金)……回収額の25%以下。
- 手数料(事務処理に対する報酬金)
実際の報酬額は、事案の状況などを勘案したうえで個別に決定されます。まずは弁護士事務所に報酬の見積もりを依頼してみてください。
6、任意整理を弁護士に依頼するメリット
任意整理は、法的には債務者個人でも行うことが可能ですが、先述したように債権者と交渉する必要が生じます。ただでさえ債務者として立場が弱いうえに、債権者は債務者との交渉経験が豊富な金融のプロですから、債務者にとってよい結果は期待しにくいものです。また、任意整理は事務的な手間も非常にかかります。
したがって、任意整理は弁護士を代理人として進めたほうが賢明といえるでしょう。あなたの代理人となった弁護士は、債務者・債権者双方の事情や考え方などを踏まえながら債務弁済計画案を策定して、早期の和解契約締結を目指します。
弁護士が交渉を対応することで、債務者の事情を説明して長期分割返済に協力してほしい旨を依頼することで、それに応じてもらえる場合があります。弁護士を代理人とすることで、債権者との交渉を有利に成立させ、任意整理のメリットを受けることが期待できるのです。
さらに、弁護士があなたの債務整理の代理人となったことを通知してから、債権者はあなたへ直接連絡をすることが禁じられます。したがって、あなたへの督促が止まることも大きなメリットであると感じられる方も多いはずです。もちろん、債務者が個人で行うよりも事務的な手間を大きく減らすことができるというメリットもあります。
7、まとめ
借金の問題は、経済的なダメージだけではなく精神的な負担も少なからず生じるものです。したがって、債務整理は、できるかぎり早めに進めておくことに越したことはありません。
任意整理は、ほかの債務整理手続きと比べてさまざまメリットがある手段です。自己破産のような最終手段を選択する前に、まずは弁護士と任意整理について相談することをおすすめします。
ベリーベスト法律事務所 姫路オフィスでは、債務整理全般に関するご相談を承っております。ぜひお気軽にご連絡ください。あなたのために、ベストを尽くします。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
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