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喧嘩を止めないやじ馬も罪に問われる? 現場助勢罪とはどんな罪か

2023年03月23日
  • 暴力事件
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喧嘩を止めないやじ馬も罪に問われる? 現場助勢罪とはどんな罪か

令和4年、某所のレストランで、いわゆる半グレ集団内のトラブルから100人規模の乱闘騒ぎが起きました。パトカー・消防車が合わせて数十台も集まる事態になり、乱闘騒ぎの中心となった人物らが逮捕された模様です。

乱闘に参加していた大半は逃亡し、現場からいなくなっていたそうですが、このようなシーンでは実際に暴力を振るっていなくても罪に問われる可能性があります。喧嘩をはやし立てたり、煽(あお)ったりすると、事情によっては刑法の「現場助勢罪」に問われて処罰されるかもしれません。

本コラムでは「現場助勢罪」を中心に喧嘩に関する罪について、ベリーベスト法律事務所 姫路オフィスの弁護士が解説します。

1、喧嘩を止めないだけでも犯罪? 現場助勢罪とは

意見の食い違いや恨みなどの感情が理由となってトラブルに発展し、理性的な判断ができなくなって暴力を振るってしまうという事件は、決してめずらしくはありません。

喧嘩などで暴行が生じたとき、周囲に当事者をはやし立てたり煽ったりする人がいると、勢いがついたり引っ込みがつかなくなったりして、当事者の暴行がさらにエスカレートするかもしれません。

このような危険な事態を防ぎ、暴行の勢いを助けた者を罰するために設けられているのが、刑法第206条の「現場助勢罪」です。

  1. (1)現場助勢罪の処罰対象

    現場助勢罪は、刑法第204条の傷害罪、同第205条の傷害致死罪の実行行為である暴行がおこなわれるにあたり、その現場において勢いを助けた者を罰する犯罪です。

    本人は人を傷害していなくても、傷害・傷害致死を助勢していれば処罰の対象になります。簡単にいえば、やじ馬的な行為が処罰の対象です。

  2. (2)具体的な行為

    現場助勢罪は、傷害・傷害致死の実行行為である暴行を現場で「助勢」することで成立します。

    助勢とは、一般的に「力添えをして援助する、加勢する」といった意味で解釈されていますが、本罪においてはとくに「はやし立てる」「けしかける」「気勢を高める」といった行為を指します。

    単に勢いを助ければ足りるので、実際にその行為によって暴行が容易になったかどうかは問題になりません。

    たとえば、次のような行為は現場助勢罪に問われる可能性があります。

    • 殴り合いの喧嘩をしている当事者に向かって「もっとやれ」とはやし立てた
    • 殴り合いの喧嘩をしている当事者に、さらなる暴行をけしかけるために拳を突き出して殴るジェスチャーを送った


    言葉やジェスチャーなどで喧嘩をはやし立てたりけしかけたりすれば処罰の対象ですが、その場で喧嘩を見ていただけなら、「助勢した」とはいえないので本罪は成立しません。

  3. (3)現場助勢罪の刑罰

    現場助勢罪に問われると、1年以下の懲役または10万円以下の罰金もしくは科料が科せられます。自らは喧嘩に加わっていなくても刑務所に収監されるおそれがあるという点は心得ておきましょう。

2、傷害罪との関係

現場助勢罪の成立が問題となるのは、おもに双方が相手に暴力をふるっている喧嘩の現場です。ここでは、喧嘩で問われることの多い傷害罪と現場助勢罪との関係を確認しておきます。

  1. (1)傷害罪とは?

    傷害罪は刑法第204条に定められている犯罪です。

    「人の身体を傷害した者」を罰するもので、15年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。殴る・蹴るなどの暴力をはたらいたうえで、相手にケガを負わせれば本罪の処罰対象です。

  2. (2)傷害罪が成立しなければ現場助勢罪も成立しない

    現場助勢罪は、傷害・傷害致死の現場における助勢行為を罰する犯罪です。条文で傷害・傷害致死という2つの罪に限定することが明記されているので、最低でも傷害罪が成立しない限り、現場助勢罪は成立しません。

    たとえば、口論をしていた2人に言葉やジェスチャーで喧嘩をけしかけたものの、当事者が冷静でお互いが暴力をふるわなかったり、相手に暴力を振るったもののケガを負わせるにいたらなかったりした場合は、傷害罪が成立しないので現場助勢罪にも問われないことになります。

  3. (3)現場助勢罪と傷害罪の幇助の関係

    喧嘩の現場において問題となりやすいのが、現場助勢罪に問われるのか、それとも傷害罪の「幇助」に問われるのかという点です。

    「幇助」とは刑法における共犯の形態のひとつで、罪を犯した本人を「正犯」とし、正犯の犯罪実行を容易にする手助けをした者が幇助犯となります。

    幇助犯の刑罰は「正犯の刑を減軽する」と定められており、法定刑の上限は正犯の2分の1となるので、法定刑の上限が15年の懲役である傷害罪の幇助犯に該当した場合、7年6か月の懲役を科せられることとなる可能性があります。

    つまり、現場助勢罪が適用されるよりも、傷害罪の幇助が適用されたほうが法律で定める刑罰の上限が重くなります。

    いずれも「自らは暴力を振るっていない」という点は同じです。ただし、現場助勢罪が「助勢した」だけにとどまるところ、傷害罪の幇助は「正犯の犯罪実行を容易にした」という点で区別されます。

    喧嘩の現場で双方に対して「もっとやれ!」などとけしかけただけなら現場助勢罪が成立するにとどまりますが、一方を激励して更なる傷害行為を決意させたり、相手方が逃げられないように取り囲んで暴行をしやすくしたりといった行為があれば傷害罪の幇助が成立します。

3、凶器の準備や決闘も犯罪になる

喧嘩に関連する罪には、現場助勢罪や傷害・暴行といったもののほかにも、凶器を準備したり、お互いが了承して決闘したりといった行為を罰するものがあります。

  1. (1)凶器準備集合罪

    凶器準備集合罪は刑法第208条の2第1項に定められている犯罪です。

    2人以上の者が、他人の生命・身体・財産に対して共同して危害を加える目的で集合した場合において、凶器を準備したり、凶器の準備があることを知って集合したりした者が処罰の対象となります。

    そもそもは暴力団抗争の取り締まりを目的として創設された犯罪ですが、時代の変遷とともに、学生運動・暴走族・半グレ集団への取り締まりに活用されるようになりました。

    本罪は、実際に襲撃していなくても、その危険を防ぐために準備・集合といった行為を処罰の対象としています。たとえば、敵対する組織の事務所を襲撃するために拳銃や刃物を用意して集合した、特定人物を襲撃するために鉄パイプや金属バットなどを持ち寄って集合したといったケースが考えられるでしょう。

    集合した者は2年以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられるほか、中心となって集合を主導した者は同条2項の凶器準備結集罪として3年以下の懲役が科せられます。

  2. (2)決闘罪

    暴行や傷害といった行為は、通常、相手に許可を得てはたらくものではありませんが「お互いが合意のうえなら問題ない」と考えるのは間違いです。日時や場所などを約束したうえで戦う行為を決闘といい、決闘行為は「決闘罪」として処罰されます。

    決闘罪を定めているのは刑法ではなく「決闘罪ニ関スル件」という古い法律です。決闘を挑んだり応じたりした者には6か月以上2年以下の懲役、決闘をした者には2年以上5年以下の懲役が科せられます。

    また、決闘の立会人や立会いを約束した者、決闘がおこなわれることを知っていて場所を提供した者にはいずれも1か月以上1年以下の懲役が規定されているので、決闘に関与した者はすべて処罰されると考えておきましょう。

4、警察から呼び出しを受けたらどうするべき?

喧嘩の現場にいたことで警察から呼び出しを受けている場合はどのように対応すればよいのでしょうか?

  1. (1)警察が出頭を求める理由

    喧嘩の現場にいたために警察から出頭を求められているなら、ふたとおりの理由が考えられます。

    ひとつは参考人として目撃した状況を詳しく尋ねるため、もうひとつは現場助勢罪などの容疑をかけられているためです。

    参考人として呼び出しを受けているだけならあまり心配する必要はありません。自分が目撃した状況や知っている事情を話すだけで、あくまでも容疑をかけられているのは喧嘩をした当事者です。

    現場助勢罪などの容疑をかけられている場合は、自らの具体的な行為などについて詳しい取り調べを受けます。

    犯罪の容疑があって取り調べられるときは、取り調べに先立ってかならず「いいたくないことは無理にいわなくてもよい」という供述拒否権の告知がおこなわれるので、自分に疑いが向けられているのかどうかを判断できないということはないでしょう。

  2. (2)呼び出しを受けたら弁護士に相談を

    自分に容疑がかかっていないなら、警察からの呼び出しにもとくに警戒する必要はありません。
    しかし、呼び出しの連絡を受けた段階で警察から「参考人として事情を聴きたい」「容疑があるので取り調べをする」とはっきり告げられるケースは少ないので、判断に迷い、不安を感じることもあるでしょう。

    警察からの呼び出しを受けて不安を感じているなら、弁護士への相談をおすすめします。弁護士に相談して詳しく状況を伝えれば、自分自身に容疑の目が向けられる要素があるのか、罪を追及される可能性があるのかを正確に判断できるので、不安を払拭(ふっしょく)できるはずです。

    もし容疑をかけられている可能性が高ければ、警察の取り調べに際してどのように対応するべきなのか、どのような点に注意すればよいのかといったアドバイスも得られます。

    実際に容疑をかけられている状況なら、傷害事件の被害者との示談交渉を通じて謝罪や弁済を尽くすなどの対策も必要です。時間がたつほど不利な状況をまねきやすくなるので、弁護士への相談を急ぎましょう。

5、まとめ

喧嘩の現場にいながら、喧嘩を止めないばかりかはやし立てたりたきつけたりすると「現場助勢罪」という犯罪になってしまう可能性があります。

たとえ自分自身は喧嘩に加わっていなくても刑罰を科せられるおそれがあるという点は覚えておく必要があるでしょう。また、喧嘩の一方に加担して手助けをすると傷害罪の幇助犯として厳しく処罰される可能性もあります。

喧嘩そのものが事件化されれば、詳しい捜査が進められる過程で関与が明らかになるので、後日、警察からの呼び出しがあることも覚悟しておくべきでしょう。

喧嘩に関与してしまい、自分自身に容疑を向けられてしまったり、警察からの呼び出しに不安を感じていたりするなら、弁護士への相談をおすすめします。刑事事件の解決は、ベリーベスト法律事務所 姫路オフィスにおまかせください。数多くの刑事事件を解決してきた実績豊富な弁護士が、穏便な解決に向けて全力でサポートします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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