飲酒運転した後日逮捕される可能性は? 罰金・罰則・逮捕後の流れ

2024年08月21日
  • 交通事故・交通違反
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飲酒運転した後日逮捕される可能性は? 罰金・罰則・逮捕後の流れ

兵庫県のホームページによると、令和5年中に起きた飲酒運転による交通事故のうち人身事故は、101件にも上り、前年から22件も増加したとのことです。なかでも姫路市に隣接する加古川市を主要エリアとする加古川警察署管轄は、令和5年の時点で飲酒運転検挙数が7年連続で県下1位であることから注意喚起を行っています。

言うまでもなく、飲酒運転は犯罪です。本コラムは、自分自身や家族が飲酒運転で捕まってしまったときの流れを中心に、飲酒運転の罰金や罰則、後日逮捕の可能性をベリーベスト法律事務所 姫路オフィスの弁護士が解説します。


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1、飲酒運転とは?

飲酒運転とは、お酒を飲み、アルコールの影響がある状態で車両を運転する行為のことです。自動車やバイク、自転車などの乗り物に適用されます。

そして、飲酒運転に該当する状態は大きく2種類に分類されています。「酒酔い運転」と「酒気帯び運転」です。いずれも実際の飲酒量とは関係なく、その場の状態やアルコール濃度数値で判断されることになります。

「酒酔い運転」とは、アルコールの影響で、正常に車両を運転できない恐れのある状態を指します。つまり、真っすぐ歩くことができずフラフラしているような、完全に酔っぱらった状態で運転する違反のことです。

酒気帯び運転とは、体内に一定の基準以上のアルコールがある状態で車両を運転する行為のことをいいます。

2、飲酒運転の量刑は?

  1. (1)酒気帯び運転をしたときの量刑

    酒気帯び運転は道路交通法第65条「酒気帯び運転等の禁止」として詳細に規定されています。

    「酒気帯び状態」とひとことでいっても、人によって思い浮かぶ状態が異なるでしょう。そのため、処罰を受ける対象となる基準は、数値として明確に区切られています。

    酒気帯び運転が処罰されるのは、呼気1リットルにつき0.15ミリグラム以上のアルコールが検知された場合に限定されています(血液アルコール濃度の場合は1ミリリットルにつき0.3ミリグラム以上)。

    一般的には、飲酒検問などで、疑われて呼気検査をされた上で、判定されるものです。この呼気検査を任意のものと勘違いしているのか、インターネット上で「無視していい」という言説を散見しますが、呼気検査を拒否することはできません。無視しただけでも、罰則がありますので、たとえ飲酒運転をしていたとしても、逆らわずに従いましょう。

    そして、量刑ですが、酒気帯び運転の場合、3年以下の懲役または50万円以下の罰金のいずれかが科されることになるでしょう(道路交通法第117条の2の2)。さらに行政処分として、免許得点制度で加算されることになります。

  2. (2)酒酔い運転をしたときの量刑

    飲酒運転でも、酒酔い運転はアルコールの影響により正常な運転ができない恐れがある状態を指し、「酒気帯び」よりも多量のアルコール量が検出された場合にはこちらの罪に該当し得ることになります。

    しかし、酒酔い運転の基準は数値だけではありません。お酒に強い人と弱い人がいるために、飲酒量では測れないことがあるからです。酒酔い運転の要件は、アルコールにより正常な運転ができない状態を指すので、もしも量はさほど飲んでいなくても、「酒酔い」と判断できる状態であれば当てはまります。

    つまり、たとえ呼気中アルコール濃度の数値が酒気帯び運転に該当するほど高くはなくても、酒酔い運転にはあたる人がいるということです。したがって、体質的にお酒に強い人だと、飲酒量が超え、呼気検査の結果、数値が非常に高かったとしても、「酒酔い運転」にはあたらない場合も出てきます。

    いずれにしても、酒酔い運転で有罪になったときの量刑は、5年以下の懲役または100万円以下の罰金(道路交通法117条の2)です。点数制度上では35点が加算されます。したがって、免許が取り消されることになるでしょう。

  3. (3)飲酒運転で事故を起こして被害者が出た場合

    飲酒運転をしただけでも犯罪が成立しますが、もしも交通事故を起こして相手にケガを負わせてしまった場合「自動車運転過失傷害罪」が適用されます。また、交通事故の結果、相手が死亡してしまった場合は「自動車運転過失致死罪」という刑事罰が成立するでしょう。最近では「危険運転致死傷罪」も検討される可能性があります。

    さらに、飲酒運転による違反点数に加えて、被害者の負傷程度による加算の合計点数が与えられます。違反点数が13点となると、交通違反の前歴がなくても、1発で免許停止となり、違反点数が15点となると、同様に交通の前歴がなくても1発で免許取り消しとなります。点数が増えると免許の欠格期間も長くなります。行政処分のほかに、刑事罰を科される可能性もあるでしょう。

  4. (4)運転手以外の罰則

    飲酒運転をした本人だけでなく、同乗者なども処罰される可能性があります。具体的には、運転手が飲酒していることを知って車両を提供した者、運転手が飲酒していることを知って運転を頼んだ者が処罰の対象です。

    そのほかにも、道路交通法第65条によって、同乗者などではなくても、運転手が運転することを知っていたのに酒類をすすめた者や、酒類を提供した飲食店なども処罰される可能性があります。

3、飲酒運転で後日逮捕される可能性について

飲酒運転は基本的に呼気検査によって発覚するケースが多いことから、現行犯逮捕が多い罪です。もちろん、今は防犯カメラが発達しているので、それにより飲酒の一部始終が映されていれば、後日逮捕の可能性がないわけではありません。

しかし、もしも逮捕されるとしても、証拠として求められることになるものは運転前、運転中に酒を飲んだということではなく、基準値以上の酒気を帯びて運転したという事実に関するものです。呼気アルコール量などを調べなければわからないものであり、該当日時の時点で酒気帯びもしくは酒酔い状態であったかどうかは特定できません。したがって、現行犯でなければ立件は非常に難しいといえるでしょう。

4、飲酒運転での裁判の流れ

  1. (1)飲酒運転の裁判まで

    飲酒運転で逮捕されると「被疑者」と呼ばれる立場となり、原則、刑事訴訟法に定められた手順に沿って裁判まで進行します。点数が加算される行政処分を受けるだけではありません。

    まず、逮捕後は警察による取り調べが行われます。警察は逮捕から48時間以内に身柄と事件を検察へ送致するか、釈放するかを決めなければなりません。釈放となったときでも、事件は検察に送られれば、在宅事件扱いとして取り調べに協力する必要があるでしょう。

    送致を受けた検察は、24時間以内に「勾留」が必要かどうかを判断します。勾留とは、身柄の拘束を受けたまま取り調べを受けることを指します。捜査に協力的ではなかったり、証拠隠滅や逃亡の危険があるとみなされたりすると、裁判所へ「勾留請求」されることになるでしょう。なお、警察の逮捕から勾留が決定するまでの最長72時間の間は、家族でも面会はできなくなります。自由な面会が行えるのは、依頼を受けた弁護士に限られます。

    もし勾留が決定すると、原則10日以内、必要に応じて最大10日間の延長の可能性があります。その間、仕事や学校へ行くことはできません。社会的に大きな影響を及ぼす可能性は否定できないでしょう。

    検察は、取り調べが終わった段階で被疑者に対して「起訴」するか「不起訴」とするかを判断します。勾留中であれば勾留期間中に決定されますが、在宅事件扱いのときはいつ起訴か不起訴かが決まるのかはわかりません。

    起訴となれば裁判が行われ、判決により有罪無罪および有罪の場合の量刑が決定されます。不起訴となれば直ちに釈放され、罪は問われません。つまり、不起訴となれば前科はつかないということになります。

  2. (2)どのような裁判になる?

    起訴には、公開された裁判で罪を問う「公判請求」と、書類手続きのみで処罰を決める「略式請求」があります。

    飲酒運転で捕まった場合、「酒気帯び運転」で初犯であれば、略式請求となることが多いでしょう。略式請求とは、通常の刑事裁判ではなく罰金や科料を科すための簡易な刑事手続を行うことを求めることをいいます。

    しかし、初犯でなければ公判請求がなされる可能性が高まります。公判とは通常の刑事裁判です。もし、執行猶予中であれば実刑判決となる可能性が高く、執行猶予中でなければ執行猶予付きの判決が出るケースもあるでしょう。

    「酒酔い運転」で初犯であれば、略式請求によって罰金になるか、公判請求により通常の刑事裁判が行われるかは、被疑事実の内容等によって異なります。通常の刑事裁判になった場合、執行猶予中であれば実刑判決となる可能性が高いでしょう。執行猶予中でなければ執行猶予となることもあります。

    ただし、処分・刑罰はあくまでケースごとに判断されます。早めに弁護士に相談することで、重すぎる刑罰が科されてしまう事態を回避できるケースもあるでしょう。

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5、弁護士を頼むメリット

実刑判決で刑務所に服役する場合はもちろん、略式請求による罰金も執行猶予も有罪判決であることに変わりはありません。したがって、いずれも「前科」がつきます。前科がつくことや実刑を避けたいときは、できるだけ早いタイミングで示談を進めるなどの対策が必要となります。

逮捕後から最長72時間は家族とも接見が制限されますし、身柄の拘束を受けていれば本人が動くことはできません。そこで、弁護士に依頼することによって、自由な接見を通じて逮捕された本人と直接打ち合わせを重ねたりアドバイスを受けたりすることができます。

さらに被害者がいるケースは、示談交渉を迅速に始められます。仮に事故を起こしていても、被害者との間で示談が成立していれば、情状が酌量され、執行猶予になることも考えられます。ただし、示談をする際に、加害者や加害者家族が直接被害者と接触することによってトラブルとなってしまうケースは少なくありません。弁護士を立てて交渉することで、示談がスムーズに進むでしょう。

また、身柄の拘束を受ける期間が長引けば長引くほど、日常生活に多大な損失を残すことになりかねません。事実上、会社や学校を休まねばならず、その後の復帰も難しくなるでしょう。そのためにはまず、いち早く釈放してもらえるよう、検察官や裁判官を納得させることが大切です。弁護士は、まずは少しでも早いタイミングで身柄の拘束を解いてもらうように働きかけるとともに、示談交渉を行うなどの弁護活動を行います。

6、まとめ

飲酒運転に対しては厳しい罰則が規定されています。罰金だけでは済まされず、懲役を科せられる可能性がある犯罪なのです。さらに人身事故などを起こしてしまった場合には逮捕され、それまでの生活が一変してしまう可能性があることは否定できません。また、飲酒して運転した本人だけでなく、飲酒していることを知りながら運転をさせた方、止めなかった方なども罪に問われる可能性があります。

あなたご自身やあなたのご家族が飲酒運転を行ってしまい、警察の捜査対象となったり、逮捕されたりしてしまったときは、ベリーベスト法律事務所 姫路オフィスまでご相談ください。少しでも今後の人生に残る影響を軽減できるように、状況に適したアドバイスを行います。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています