接見禁止期間はどれくらい? 接見禁止の解除方法と期間中にできること

2022年11月17日
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接見禁止期間はどれくらい? 接見禁止の解除方法と期間中にできること

刑事事件の被疑者・被告人が勾留された際、逃亡または罪証隠滅のおそれが認められる場合には、裁判官・裁判所によって「接見禁止処分」が行われる可能性があります。

被疑事実に関する事情によっては、接見禁止がきわめて長期間に及ぶこともあります。接見禁止期間であっても、弁護士であれば被疑者・被告人と接見できますので、ご家族が逮捕・勾留された場合にはお早めに弁護士までご相談ください。

今回は、勾留されている被疑者・被告人の接見禁止期間や、接見禁止を解除するための手続き、接見禁止期間に家族ができること・できないことなどを、ベリーベスト法律事務所 姫路オフィスの弁護士が解説します。

1、接見禁止の期間はどのくらい?

被疑者・被告人が逃亡し、または罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるときは、裁判所(被疑者の場合は裁判官)は被疑者・被告人と面会希望者との接見を禁止することができます(刑事訴訟法第81条、第207条第1項)。

接見禁止期間は、被疑事実の内容等によってケースバイケースで異なるのが実情です。

  1. (1)共犯者がいない場合|起訴までには解除されることが多い

    共犯者がいない事件の場合、被疑者について接見禁止処分が行われたとしても、起訴までには解除される傾向にあります。

    捜査機関は、被疑者を起訴する段階ではすでに捜査を終えているのが原則です。したがって、起訴の時点ではすでに追加捜査を行う必要がなく、罪証隠滅のおそれの懸念がなくなるため、接見禁止処分が解除されることが多いのです。

  2. (2)共犯者がいる場合|起訴後しばらくは解除されないことが多い

    共犯者がいる事件の場合、罪証隠滅のおそれは事件全体として判断されます。

    たとえば、一部の共犯者が起訴されたとしても、他の共犯者がまだ起訴されておらず捜査が継続しているとします。この場合、起訴済みの共犯者についても罪証隠滅のおそれが消えておらず、接見禁止が解除されないことが多いです。

    共犯者がいるケースでは、自分が起訴された後も、共犯者全員の起訴・不起訴が決定するまでは、接見禁止処分が解除される可能性は低いと考えましょう

  3. (3)重大な犯罪の場合|起訴後も解除されにくい

    殺人・放火・強盗など重大な犯罪が被疑事実となっている場合、起訴された後でも接見禁止が解除されないことが多いです。

    重大な犯罪事案では、罪証隠滅に加えて逃亡のおそれについて、慎重に判断がなされる必要性が高いです。

    したがって、捜査が完了した起訴後の段階であっても、被告人が逃亡するリスクを最小化する観点から、接見禁止処分が解除されずに継続する傾向にあるのです。

  4. (4)軽微な犯罪の場合|すぐに解除されることが多い

    反対に、比較的軽い犯罪が被疑事実となっている場合、一時的に接見禁止処分が行われたとしても、短期間で解除されることが多くなっています。

    被疑者・被告人としては、弁護士を通じて準抗告・抗告・接見禁止処分の一部解除の上申(それぞれ後述)などを行い、できるだけ早く家族などと接見できるようにしてもらいましょう。

2、接見禁止を解除するために弁護士ができる対応

被疑者・被告人について接見禁止処分が行われた場合、弁護士は準抗告・抗告・接見禁止処分の一部解除の上申を行い、家族との接見の早期実現に向けて尽力いたします。

  1. (1)準抗告

    「準抗告」とは、刑事手続きに関して裁判官が行った裁判に対する不服申立ての手続きです(刑事訴訟法第429条第1項)。

    起訴前段階での被疑者に対する接見禁止処分は、(裁判所ではなく)裁判官が行います(同法第207条第1項)。

    したがって、被疑者は接見禁止処分につき、裁判所に対して準抗告による不服申立てを行う事ができます(同法第429条第1項第2号)。

    準抗告が認められれば、裁判所によって接見禁止処分の全部または一部が取り消され、家族などによる接見ができるようになります

  2. (2)抗告

    「抗告」とは、刑事手続きに関して裁判所が行った決定に対する不服申立ての手続きです(刑事訴訟法第419条)。

    起訴後段階での被告人に対する接見禁止決定は、裁判官が行う決定に当たります。
    したがって、被告人は接見禁止処分につき、裁判所に対して抗告による不服申立てを行うことができます。

    抗告は、接見禁止処分を行った原裁判所および上級裁判所で審査され、理由があると認められれば、接見禁止処分の全部または一部が取り消されます。

  3. (3)接見禁止処分の一部解除の上申

    刑事訴訟法の規定に基づく手続きではありませんが、接見禁止処分の一部を解除してもらうように、裁判所に対して上申を行うことも考えられます。

    裁判所は職権により接見禁止処分を行い、またはその全部もしくは一部を解除する権限を有しています。

    もし上申の理由が認められれば、裁判所が職権を発動して、接見禁止処分の全部または一部を解除してくれる可能性があるのです。

    接見禁止処分の全部解除が難しいとしても、家族のみに限るなどの条件を付したうえで、接見を一部解禁してもらえるケースはよくあります。

    弁護士を通じて、合理的な理由を付して上申を行えば、家族との接見を早い段階で認めてもらえる可能性が高くなります

3、接見禁止期間に家族ができること・できないこと

接見禁止処分が行われても、被疑者・被告人と家族の交流が一切認められなくなるとは限りません。ただし、家族のできることが相当に制限されることは避けられないので、弁護士に本人と家族の窓口をご依頼いただくことをおすすめいたします。

  1. (1)接見禁止の期間に家族ができること

    接見禁止期間中も、裁判官(裁判所)の処分によって禁止されていない行為については、家族も行うことができます。

    たとえば以下の行為については、具体的に禁止されていない限り認められます。

    • 書類(手紙など)の差し入れ
    • 物の差し入
    • お金の差し入れ
    など


    また後述するように、弁護士は接見禁止期間中であっても、被疑者・被告人と自由に接見できます。そのため、家族が弁護士を通じて被疑者・被告人とやり取りすることは可能です。

  2. (2)接見禁止の期間に家族ができないこと

    接見禁止期間中は、家族が被疑者・被告人と接見(面会)することはできません。

    また、物の差し入れについても、接見と併せて禁止されている場合には不可となります。
    どのような行為が禁止されているかについては、弁護士にご依頼いただければ裁判所や警察署に確認いたします。

    いずれにしても、家族だけでできる対応はかなり制限されますので、早い段階で弁護士へご依頼ください。

4、家族が逮捕されたらお早めに弁護士へご相談を

万が一、刑事事件で家族が逮捕されてしまった場合、早めに弁護士へ依頼することをおすすめします。

  1. (1)接見禁止期間でも、弁護士は自由に接見できる

    弁護人、または弁護人を選任できる者の依頼により弁護人となろうとする者であれば、接見禁止処分が行われていても、被疑者・被告人と自由に接見できます。

    被疑者・被告人の防御権を確保するため、弁護人等には接見交通権が認められており、接見禁止の対象外とされているのです(刑事訴訟法第81条、第39条)。

    弁護人による接見時間は限定されておらず、夜間や土日祝日であっても無制限に接見できます。また、弁護人等には立会人なくして接見を行う権利や書類や物の授受を行う権利が保障されているため(同法第39条第1項)、家族のメッセージを被疑者・被告人に伝えることも可能です。

    弁護士を通じて家族とやり取りすることで、被疑者・被告人にとっては大きな安心に繋がります。少しでも被疑者・被告人の精神的な負担を軽減するためにも、お早めに弁護士へご依頼ください。

  2. (2)国選弁護人よりも私選弁護人の方がお勧め

    国選弁護人の場合、ご自身で弁護士を選べないため、弁護士の資質や相性などを見極めることができません。また、国選弁護人報酬は非常に低額ということもあり、弁護人として充実した活動をしてもらえないケースもあります。

    私選弁護人であれば、信頼できる弁護士をご自身で選べるため、納得できる弁護活動をしてもらえる可能性が高いです。そのため、私選で弁護人を就けていただくことがおすすめです

    ベリーベスト法律事務所では、私選弁護のご依頼を受け付けておりますので、ご家族が逮捕されてしまった場合はお早めにご相談ください。

5、まとめ

刑事事件で勾留中の接見禁止期間は、事案の内容によってケースバイケースで異なります。

接見禁止期間中は、ご家族は接見ができず、物の差し入れが制限されるなど、被疑者・被告人と交流する方法がかなり限定されてしまいます。

しかし弁護士であれば、接見禁止期間中であっても、被疑者・被告人と自由に接見可能です。ご家族からのメッセージも、立会人なくして被疑者・被告人に伝えることができますので、早めに弁護士へ依頼することが大切です

ご家族が刑事事件で逮捕・勾留されてしまった場合には、まずはベリーベスト法律事務所 姫路オフィスまでご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています