相続が発生したとき相談はどこがいい? ベストな相談先の選び方
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姫路市のデータによると、2020年中の姫路市内における死亡者数は5786名でした。
相続手続きは、弁護士・税理士・司法書士などの士業が取り扱っています。各士業はそれぞれ異なる業務範囲を有しており、相続に関する事情に応じて、適切な相談先は異なります。
「どの士業に相談すればよいかわからない」という場合には、まずは業務範囲の広い弁護士に相談してから、必要に応じて隣接士業の紹介を受けることをおすすめします。本コラムでは、相続手続きに関する相談先の選び方について、ベリーベスト法律事務所 姫路オフィスの弁護士が解説します。
1、相続発生時に必要となる主な手続き
ご家族が亡くなって相続が発生すると、残された相続人は、さまざまな手続きに対応しなければなりません。
相続手続きの主な内容は、以下のとおりです。
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(1)遺言執行
被相続人の遺言書がある場合には、その内容に従って財産を分ける必要があります。
これを「遺言執行」と言います。
「遺言執行者」がいる場合、遺言執行者が一人で遺言の執行をします。遺言執行者は、遺言または家庭裁判所によって選任されます(民法第1006条第1項、第1010条)。
遺言執行者に就任した者は、民法の規定に従って職務を行わなければなりません(民法第1007条以下)。
遺言執行者がいない場合には、相続人が全員共同で遺言の執行をします。財産の名義変更手続きなども、相続人が全員共同で行う必要があるため、遺言執行者がいる場合よりも煩雑となってしまいます。 -
(2)遺産分割
遺言によって分割方法が決められていない相続財産がある場合、相続人全員の遺産分割協議によって、分割方法を決定します。
もし遺産分割協議が不調に終わった場合は、遺産分割調停や審判などの法的手続きを通じて、分割方法を決定することになります。
遺産分割に関する手続きでは、相続人同士の間で激しい対立が発生することが多々あります。
相続人同士のトラブルを予防したい場合や、すでにトラブルに発展している場合には、弁護士に調整を依頼することをおすすめします。 -
(3)相続財産の名義変更|相続登記など
遺言書や遺産分割によって相続財産の分割方法が決まったら、その内容にしたがって相続財産の名義変更を行います。
名義変更が必要となる主な相続財産は、不動産と株式です。
不動産については、法務局で相続登記の手続きを行う必要があります。株式については、証券会社を通じて名義変更の手続きを行います(未公開株式の場合は、会社に直接連絡して名義変更を行います)。
銀行等の預貯金については、厳密には名義変更とは異なりますが、被相続人名義の口座を解約したうえで、相続人名義の口座へ払い出すことになります。 -
(4)準確定申告・相続税申告
相続が開始したら、「準確定申告」と「相続税申告」という2つの税務申告を行う必要があります。
準確定申告では、被相続人が亡くなった年の所得を申告します。申告期限は、相続開始を知った日の翌日から4か月以内です。
相続税申告では、相続財産の金額や相続人の人数等に基づき、相続人が納める相続税額を計算して申告します。申告期限は、相続開始を知った日の翌日から10か月以内です。 -
(5)相続放棄・限定承認
相続財産が債務超過となっている場合などには、「相続放棄」や「限定承認」の手続きを行うことも検討しなければいけません。
相続放棄は、「相続財産を一切相続しない」という意思を表示することです(民法第939条)。
限定承認は、「相続した資産の範囲内でのみ、債務を相続する」という意思を表示することになります(民法第922条)。
相続放棄と限定承認のどちらについても、原則として、相続の開始を知った時から3か月以内に、家庭裁判所に申述書等を提出して行わなければなりません(民法第915条第1項)。
2、悲しくても早く相続手続きを行うべき理由
ご家族が亡くなった直後の状況では、悲しみのあまり、相続手続きについて対応する気力が湧かないという方も多くおられます。
しかし、ある程度落ち着いたら、できるだけ早く相続手続きを行うことが大切です。
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(1)相続財産の把握が困難になる
相続発生から時間がたてばたつほど、相続財産に関する資料が破棄される可能性が高くなります。
また、相続財産を管理している相続人が、自分のために勝手に相続財産を使い込んでしまうケースもあるのです。
このような事態が発生すると、相続財産の把握が困難となり、公正な遺産分割を行うことが難しくなります。そうならないように、相続手続きには早めに着手する必要があるのです。 -
(2)不動産が荒廃するおそれがある
相続財産に不動産が含まれている場合、遺産分割未了の段階でも、相続人が適切に管理を行う必要があります。
長い間遺産分割を行わないでいると、管理責任者が不明確になり、不動産が荒廃してしまうことになりかねません。
そうなると、不動産の価値が毀損されるばかりでなく、近隣トラブルの原因にもなるリスクもあります。 -
(3)期限のある手続きが存在する
前述してきたとおり、相続に関する税務申告や、相続放棄や限定承認の手続きには期限が存在します。
税務申告の期限に間に合わないと、後に追徴課税を受ける可能性があります。また、相続放棄や限定承認も同様に、期限に間に合わないと、思いがけず巨額の債務を負担してしまう可能性もあるのです。
このような事態にならないように、相続手続きはきちんとスケジュールを立てて進める必要があります。
3、状況別|相続手続きに関する適切な相談先
相続手続きに関する相談先としては、弁護士・税理士・司法書士が挙げられます。それぞれの士業は、取扱業務の内容が異なります。
以下では、「どの士業に相談するべきか」を判断するための大まかな方針を解説します。
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(1)相続人同士が揉めている場合・相続放棄等が必要な場合は弁護士
基本的に、相続人同士のトラブル解決について対応できるのは、弁護士のみです。したがって、遺産分割に関して相続人同士が揉めている場合には、弁護士に相談するのがよいでしょう。
また、相続放棄や限定承認の手続きは司法書士でもサポート可能ですが、書類の代理提出ができるのは弁護士のみとなっています。そのため、相続放棄や限定承認の手続き全般を依頼したい場合も、弁護士に相談することをおすすめします。 -
(2)準確定申告・相続税申告は税理士
準確定申告や相続税申告については、基本的に、税理士のみが取り扱えます。弁護士でも取り扱える場合がありますが、実際に税務申告の相談を受け付けている弁護士は多くありません。
とくに、相続財産の金額が大きい場合や不動産等の評価が必要な場合には、税理士に相談することをおすすめします。
ただし、税理士は遺産分割等に関する業務を取り扱うことができません。そのため、税理士に相談する際にも、弁護士への相談と併用することを検討しましょう。 -
(3)不動産の名義変更は司法書士
不動産の名義変更に当たる相続登記の手続きは、司法書士がもっとも得意としています。
弁護士も取り扱うことできますが、実際には司法書士に任せるケースが一般的です。
そのため、不動産の名義変更が必要な場合には、司法書士に依頼することになります。
なお、あらゆる相続手続きについてワンストップで依頼したい場合には、業務範囲の広い弁護士に相談したうえで、弁護士を通じて税理士や司法書士の紹介を受けることをおすすめします。
4、士業別|相続に関して対応できる業務・できない業務のリスト
最後に、弁護士・税理士・司法書士が、相続について対応できる業務・できない業務をリストにまとめておきます。
弁護士 | 税理士 | 司法書士 | |
---|---|---|---|
相続人調査 | 〇 | 〇 | 〇 |
相続財産調査 | 〇 | 〇 | 〇 |
遺産分割協議の代理 | 〇 | × | × |
遺産分割調停・審判の代理 | 〇 | × | × |
遺産分割協議書の作成 | 〇 | △(相続税申告に必要な場合のみ) | △(登記手続きに必要な場合のみ) |
遺留分侵害額請求 | 〇 | × | △(認定司法書士かつ請求額140万円以下の場合のみ) |
不動産の名義変更(相続登記) | 〇(ただし司法書士に任せることが多い) | × | 〇 |
相続放棄 | 〇 | × | △(書類作成のみ、代理提出は不可) |
遺言書の作成サポート | 〇 | △(行政書士資格が必要) | △(行政書士資格が必要) |
遺言執行 | 〇 | 〇 | 〇 |
準確定申告 相続税申告 |
△(国税局長に通知すれば可能) | 〇 | × |
上記のリストに示されているように、弁護士の業務範囲が非常に広くなっています。
相続登記については司法書士、税務申告については税理士の方が弁護士よりも適任ですが、弁護士を通じて司法書士や税理士の紹介を受けることも可能です。
ベリーベスト法律事務所では、弁護士はもちろん、税理士、司法書士も所属しているため、ひとつの窓口でワンストップのサポートが可能です。遺産相続に関するお悩みや疑問があれば、まずはお気軽にご相談ください。
5、まとめ
相続手続きの相談先としては、主に弁護士・税理士・司法書士が挙げられます。弁護士の業務範囲がもっとも広く、隣接士業の紹介を受けることもできますので、ワンストップで相続手続きを依頼したい場合には、弁護士に相談することをおすすめします。
ベリーベスト法律事務所では、相続に関する法律相談を幅広く受け付けております。ストレスなく円滑に相続手続きを完了したい方や、相続トラブルをお困りの方は、まずは、ベリーベスト法律事務所 姫路オフィスに相談ください。
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