個人事業主でも顧問弁護士は必要? その理由とメリットとは
- 顧問弁護士
- 個人事業主
- 弁護士
令和2年度版の姫路市統計要覧によると、姫路市では従業員数が1~4人の事業所の構成比は56.9%を占め(平成28年「経済センサス―活動調査」より)、個人事業主が多分に含まれていることがわかります。
メリット・デメリットを検討し、あえて株式会社化せず個人事業の形態を取っているケースもあるでしょう。しかし、法律が絡むトラブルはある日突然襲い掛かるものです。知らなかったでは済まされないケースは少なくありません。
そこで本コラムでは、個人事業主向けにリーズナブルな顧問弁護士サービスを提供しているベリーベスト法律事務所 姫路オフィスの弁護士が、個人事業主にこそ顧問弁護士契約を結ぶべき理由とメリットについて解説します。
1、そもそも顧問弁護士とは?
顧問弁護士とは、弁護士に一定の顧問料を支払うことで、締結した顧問弁護士契約の範囲内で依頼人の法務関連業務に常時かつ優先的に対応する弁護士のことです。
顧問弁護士は、契約を締結している顧問先から法律相談の依頼があれば、優先的に対応します。また、顧問弁護士は企業に専属性のある弁護士として、紛争の相手方からは依頼を受けません。顧問弁護士は依頼人にとっての専属性があるのです。
あなたの事業のニーズに合致し、かつ有能な顧問弁護士であれば、あなたからの依頼にスピーディーかつ適切に対応できるだけではありません。依頼人であるあなたが置かれている立場や状況を理解したうえで新しい着眼点や発想を提案することや、時には耳が痛くなるような厳しいアドバイスもするでしょう。あなたにとって顧問弁護士は法律事案の処理やトラブルを解決するための心強いパートナーでもあるのです。
また、現代において法律分野は複雑かつ多岐にわたっており、たとえ弁護士であろうと依頼されたすべての法律案件をひとりで対処することは現実的ではない場合があります。そのような場合、それぞれの専門分野を持つ多数の弁護士を擁する総合法律事務所と顧問弁護士契約を締結しておくことで、案件に応じそれぞれの得意分野に長じた弁護士から法律サービスを受けることができるでしょう。
2、個人事業主にこそ顧問弁護士が必要な理由5つ
「株式会社を経営しているわけではないのだから、顧問弁護士なんて不要」とお考えの個人事業主も多いかもしれません。しかし、そうではありません。個人事業主であるからこそ顧問弁護士が必要であるといえます。
-
(1)法律は知らなかったではすまされない
事業の運営には、さまざまな法律が関係してきます。
たとえば、インターネットのウェブサイトで消費者から注文を受けるような販売方法は通信販売に該当し、「特定商取引に関する法律」(以下、特定商取法)の適用を受けます。この法律は訪問販売や連鎖販売方式(いわゆるマルチ商法)などにも適用されます。特定商取法は、特定の取引形態ごとに書面交付の義務・不適切な勧誘行為や誇大広告の禁止・クーリングオフの制度などを設けています。特定商取法への違反行為が認められると、同法第70条から76条の規定により懲役や罰金を科されることに加え、行政から営業停止命令を受けることもあります。
また、近年では「個人情報の保護に関する法律」(以下、個人情報保護法)も重要です。個人情報とは、生存する個人に関する氏名・生年月日・住所など、その他特定の個人を識別できる情報をいいます。そして、事業者には個人情報を厳格に管理し漏えいなどがないようにすることが義務付けられており、違反した事業者には罰則が設けられています。
個人情報保護法は、保有する個人情報の合計が過去6か月以内のいずれの日において5000を超える事業者に適用されるため、必ずしもすべての事業者に適用されるわけではありません。しかし、個人情報保護を軽視して漏えい行為を起こすと、漏えいされた被害者から損害賠償請求される可能性があります。
このほかにも、事業を運営していくうえで関係してくる法律は多々あります。それを知らずに法令違反を犯すと、事業の運営すらままならなくなってしまい、刑事罰すら受けることがあるのです。このことから、顧問弁護士を通じて必要な法令遵守体制を敷いておくことは、事業の継続において重要なポイントといえます。 -
(2)トラブル解決の相談ができる
取引先からのクレームなどのトラブルについて、個人事業であればどうしても事業主本人が対応せざるを得ません。トラブル対応が複雑かつ長期化すると、本業に支障が出るだけではなくトラブルそのものが深刻化する可能性もあります。
このとき、取引先からのクレーム対応について顧問弁護士に依頼することで、法的な側面から事態の早期収拾を図ることが期待できます。また、弁護士に対応を依頼している間、あなたは事業に専念することができるのです。 -
(3)個人としての訴訟リスクがある
取引先との契約トラブルや従業員との労務トラブルがあったとき、事業形態が株式会社であれば法人としての会社が訴えられることが一般的で、経営者個人が訴えられることはあまりありません。会社が訴えられた場合、もし損害賠償を支払うことになったときでも会社の資産から支払うことになり、経営者個人の財産から支払うわけではありません。
しかし、個人事業の場合、取引先との契約トラブルや従業員との労務トラブルで訴えられるのは事業主個人です。もし損害賠償を支払うことになったときは、たとえ経理は分けていたとしても結局のところ事業主個人の財産から支払うことになるでしょう。最悪の場合、事業主の自宅や預金など個人資産が差し押さえられることにもなりかねません。つまり、事業主個人としては株式会社形態よりも個人事業形態の方が訴訟に負けたときのリスクが圧倒的に高いのです。
そのため、日ごろから顧問弁護士によって訴訟リスクを最小化するように努めておく必要があります。もし事業主個人が訴えられたとしても顧問弁護士と相談して適切かつ速やかな対応を取ることで、問題の拡大を防ぐことが期待できます。 -
(4)契約書の作成や審査を依頼できる
事業を継続するうえで、取引先との契約締結は避けて通れません。民法上、契約は当事者間の口頭での合意によるものでも有効に成立しますが、のちのちの「言った」「言わない」といったトラブルを避けるために、契約書を締結しておくことが一般的です。
契約書の内容が不十分だと、あなたにとって一方的に不利な状態になるばかりか、契約そのものが法的に無効となることもあります。通常、ある程度の規模の株式会社であれば契約書を作成・審査する法務セクションがいますが、そのようなセクションを備えている個人事業主は少ないと考えられます。
この場合、弁護士に契約書の作成と審査を依頼することによって、弁護士はあなたの立場で契約書の作成を行い、あるいは取引先から提示された契約書の内容が妥当か否かを審査します。
顧問弁護士に契約書のことを依頼することによって、経営者としての手間を省くことができるだけでなく、後々のトラブルを防ぐことも期待できるのです。 -
(5)債権回収を依頼できる
売掛金や貸付金、未収収益のような債権が回収できないと、事業の資金繰りに大きな影響を及ぼすことになりかねません。また、債権の回収は、遅延が進むにつれて難しくなるものなのです。特に取引先が倒産すると、債権は焦げ付いて事業上の損失となります。
このようなときであっても、顧問弁護士に債務者との交渉を相談することにより、債権回収のめどを立たせることが期待できます。
3、自分に適した顧問弁護士サービスの選び方
それでは、顧問弁護士を選ぶときに重視すべきポイントは以下のとおりです。
- 依頼人の事業の内容を理解しており、業界知識がある
- 顧問弁護士契約に対する報酬が適切である
- 依頼人の立場で物事を考える
- バランス感覚があり、法に則した理性的かつ合理的な対応ができる
- 組織的な対応ができる
- 柔軟、冷静かつ実践的な対応ができる
- 専門性があり、かつ視野が広い
もし弁護士が判断や対応を誤ると、依頼人は大きな影響を受けることになります。だからこそ、料金だけで検討すべきではありません。毎月のコストを削減しつつ必要なときにすぐに相談できるようにしておきたい、ひんぱんに契約書のリーガルチェックなどが発生するので顧問弁護士をフルに活用したい、国際的な商取引が発生したときにも対応してほしいなど、必要なときに必要なリーガルサービスを受けられるかどうかが非常に重要です。
業務内容によっては、多言語対応や、姫路エリアだけでなく国内全域で何らかの活動が必要となるケースは少なくないでしょう。さまざまな法律分野に知見があり柔軟かつ実践的な対応ができるだけでなく、全国規模で対応が可能な法律事務所を選択することをおすすめします。
4、まとめ
これまでご説明したとおり、顧問弁護士契約は個人事業主にとって非常に大きなメリットがあります。顧問弁護士契約をご検討のときは、多数の専門分野を持つ弁護士を擁するベリーベスト法律事務所までご相談ください。
ベリーベスト法律事務所では、必要なときに必要なだけご活用いただけるよう、非常にリーズナブルな顧問弁護士サービスを提供しています。弁護士だけではなく税理士や社会保険労務士、弁理士などの専門家とも連携し、ワンストップでの対応が可能です。お気軽にご相談ください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
- |<
- 前
- 次
- >|