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共有持分の売却はトラブルになりやすい! そのリスクと対処法とは

2020年12月22日
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共有持分の売却はトラブルになりやすい! そのリスクと対処法とは

姫路市のホームページでは、不動産などの公売財産を複数人が共有する目的で入札する共同入札の手続きについて情報提供しています。一般的な相続や不動産を購入するシーンにおいても、きょうだいや夫婦で不動産を共有名義にすることは珍しくないでしょう。

しかし、共有にするとのちにトラブルに発展することがある上に、売却処分をしようとしてもさまざまな理由から困難が伴うことがあります。共有名義にしている不動産を売却する方法にはどのような方法があるのでしょうか。また、共有持分にはどのようなリスクがあるのでしょうか。ベリーベスト法律事務所 姫路オフィスの弁護士が解説します。

1、不動産の共有持分とは

共有持分とは、ひとつの不動産を複数の所有者で共有しているときに、それぞれが所有している権利の割合のことを指します。共有持分は共有者全員が平等であることもあれば、偏りがある場合もあります。

  1. (1)不動産を共有する理由

    不動産を共有にする主な理由は以下のようなものがあります。

    ①夫婦で不動産を購入した
    夫婦で自己資金を出しあって家やマンションを購入して、拠出した割合に応じて夫婦が共有持分にしているケースです。

    ②親の遺産相続できょうだいとともに相続した
    親が所有していた不動産をきょうだいで相続したケースです。

    ③二世帯住宅を建てて(または購入して)親子で住むようになった
    親子で自己資金を出しあって、二世帯住宅を建てた(または購入した)場合に、拠出した割合に応じて親子で共有持分にしているケースです。

  2. (2)共有持分の決め方

    共有持分の割合の決め方は、購入した場合と相続した場合とで異なります。

    <購入した不動産の場合>
    購入した不動産において、共有持分の割合を決めるとき、一般的には自己資金を負担した割合と同じとする傾向があります。たとえば、夫婦で5000万円のマンションを購入するときに、夫が3000万円、妻が2000万円支払った場合、持分の割合は夫が5分の3、妻が5分の2とすることがあります。

    <相続した場合>
    相続の場合は、法定相続分がそのまま共有持分の割合となることが多く見られます。たとえば6000万円のマンションを妻と子ども2人で相続した場合、法定相続分どおりに、共有持分は妻が2分の1、子どもはそれぞれ4分の1ずつとなります。

  3. (3)共有持分のままでできること・できないこと

    不動産をだれかと共有している場合、共有者の合意を得なければ何もできないようなイメージがありますが、自分ひとりでもできることは意外とあります。

    <ひとりでもできること>
    土地や建物は、持分の割合に限らずすべて使用することができます。また、現状維持のための雨どいや水回りの修繕、壁紙の張り替えなども自由にすることが可能です。

    <共有持分の過半数の合意が必要なこと>
    過半数の合意を得れば、短期的に賃貸に出して他人を住まわせることもできます。また、間取りの変更やバリアフリー化などの大がかりなリフォームも行うことが可能です。

    <共有者全員の合意が必要なこと>
    不動産すべての売却や大規模修繕工事、長期間にわたる賃貸には共有者全員の合意が必要です。戸建ての家が共有持分になっているときにはもちろん、マンションを一棟まるごと売却する際にも全員の合意を得なければなりません。ただし、賃貸マンションを区分所有している場合は、自分が区分所有している部屋のみを売却することは単独で可能です。

2、共有持分の3つの売却方法とは?

「共有持分を持っていると面倒なので売却したい」と考える方もいるでしょう。その場合、売却方法としてどのような方法があるのでしょうか。

  1. (1)ほかの共有者に売却する

    まず、ほかの共有者に売却する方法があります。共有者は親族である場合が多く、その不動産を単独名義で積極的に活用したいと考えている共有者には、「買い取ってもらえないか」と言いやすいでしょう。一方、親族といっても折り合いが悪く日頃から疎遠な場合は、買い取ってもらう話を持ちかけるのは難しいかもしれません。

  2. (2)自分の持分のみを第三者に売却する

    自分の持分のみを第三者に売却する方法もあります。この場合、共有者の合意を得る必要はありません。ただ、共有者に何の相談もなく売却すると、共有者の中にいきなり第三者が入ってくるわけなので、共有者の心証を悪くしてしまいトラブルが生じてしまう可能性もあるでしょう。また、買い主にとってみても、不動産の利用に制限がかかるので買い手がつかない可能性もあります。

  3. (3)共有者全員で売却する

    また、共有者全員で合意の上、売却する方法もあります。持分が残らず所有権をそのまま買い主に移転することになるので相場価格で売ることができ、売却益も共有者で話し合いの上分け合うことができます。

3、共有持分の売却をめぐって発生しがちなトラブル

共有持分を売却するときには、さまざまなトラブルが起こりがちです。ここではどのようなトラブルになりうるのかについて解説します。

  1. (1)物件自体を売却したくても共有者が賛成しない

    「親の死後、住宅を相続してほかの相続人との共同名義で所有していたが、だれも住む予定がないので売却したい」など、土地建物自体を売却したいということもあるでしょう。しかし、たとえば、先祖代々受け継いできた相続不動産や親が建てた住宅などは、「売るのがしのびない」などの理由で賛同が得られないことがあります。共有者から賛同が得られない場合は売却したくてもできないので、話し合いが平行線をたどったまま共有状態がずっと続く可能性があるのです。

  2. (2)共有者のひとりが勝手に持分を売却した

    また、共有者のひとりが勝手に持分を売却してしまうケースがあります。不動産会社の中には、共有持分を安く買い取って高く売る買い取り業者があり、共有者のひとりがそういう会社に売ってしまうと、他の共有者にも不当に安い値段で売却するよう話を持ちかけてくる可能性があります。その場合は、弁護士などに相談した上できちんと正当な金額で買い取ってもらえるよう交渉することが必要です。

  3. (3)代金を受領した共有者が売却代金を分配しない

    共有者全員が合意して物件を売却するときには、不動産会社とやり取りをする代表者をだれかひとりに決めなければなりません。その代表者が代金を受け取る役割も担っていますが、その代表者が売却代金を受け取ってもほかの共有者に分配しないという可能性があります。共有者には売却代金を受け取る権利があるので、権利者は代表者に毅然とした態度で請求することが必要でしょう。

  4. (4)売却価格が安すぎる

    共有名義の不動産を売却するときには、不動産会社や不動産鑑定士に査定をしてもらい、その不動産の価値をきちんと把握することが必要です。不動産会社ははじめのうちは売り主から提示された売却希望価格で売り出しますが、買い手の候補があらわれると値引き交渉を行うことが多く、予想外に低い金額にされてしまうことがあります。買い手候補から値引き交渉されるとその都度共有者全員で話し合いが必要になり手間もかかるので、最低希望価格を設定しておくとよいでしょう。

4、不動産の共有持分でトラブルになるリスクと対処法

不動産をだれかと共有名義で所有していると、単独名義で所有しているときよりもトラブルが起こる可能性が高いと言えます。では、具体的にどのようなトラブルが起こるリスクがあるのでしょうか。対処法とともに解説します。

  1. (1)共有者が増えて権利関係が複雑になる

    特に遺産分割協議を受けてきょうだいと不動産を共有することになった場合は、年月がたつにつれて再び相続が起こり、持分の権利者がきょうだいの子どもや孫へと雪だるま式に増えていきます。そうなると、共有者の中に疎遠になる者や遠方に住む者も出てくるでしょう。その結果、権利関係が非常に複雑になって収拾のつかない事態になることも考えられます。また、将来的に不動産を売却することになったときに、その共有者全員の合意を得なければならず、膨大な手間がかかる可能性もあるでしょう。

    こういった事態を防ぐには、できるだけ早く単独名義にするほかありません。だれが相続するかが決まらないので仕方なく共有状態にしている場合は、できるだけ早めに所有者を決めて、登記も単独名義に変更するようにしましょう。

  2. (2)修繕費用の負担割合でもめる

    不動産を所有していると、年月がたつにつれてあちこち故障したり壊れたりするので、修繕やメンテナンスが必要になります。修繕やメンテナンスには少なからず費用がかかりますが、不動産が共有状態になっているとその費用負担の割合をどうするかで共有者ともめる可能性があります。

    本来ならば持分に応じた負担をすべきなので、共有者の中に負担をしようとしない者がいる場合にはきちんと支払ってもらえるよう交渉するようにしましょう。交渉に応じない場合は、弁護士に相談の上、裁判所で調停や裁判を申し立てるなど、法的手段も検討したほうがいいかもしれません。

  3. (3)毎年固定資産税が発生する

    不動産の所有者となれば、毎年固定資産税が発生します。市区町村役場から固定資産税の納付書が送られますが、共有者の中の代表者のところにだけ1年分の納付書が送られてくることになります。共有者のそれぞれあてに持分ごとに算出された納付書が送られてくるわけではありません。固定資産税額も代表者が納付しますが、持分に応じて他の共有者も全員負担をしなければなりません。負担しようとしない共有者がいる場合は、先ほどと同様、交渉に応じないようであれば裁判所での法的手段を検討したほうがよいでしょう。

  4. (4)売却処分がしづらい

    不動産全体が共有状態になっていて、自分の持分のみを売却しようとしても、共有持分になっていると流動性が低くなるので売却がしづらくなります。共有にしたままで買い手を見つけるには、相場よりもずっと低い金額で売り出さなければならない可能性が高いでしょう。

    この場合は、共有状態にある不動産が広い土地の場合は、持分に応じて分筆してから売りに出すと、通常の土地として販売できるので相場価格で売ることができます。また、共有している不動産がマンションの場合は、持分に応じて区分所有の形をとっていれば、通常のマンションの部屋として売却できるので、相場価格で販売できます。

  5. (5)だれかが持分放棄したときに贈与税が発生する

    何らかの事情で自分の持分を手放したい場合は、売却するほかに放棄することも可能です。放棄した持分は、ほかの共有者にそれぞれの持分に応じて帰属することになります。その場合は、相続税法上は共有者に贈与したとみなされるので、受贈者(持分を受け取った側)に贈与税がかかることがあります。その旨をきちんと事前に説明しておきましょう。

5、まとめ

不動産をだれかと共有名義にしていると、人間関係が良好なうちは問題なくとも、少しでもいざこざが起きると大きなトラブルに発展することも十分ありえます。そういったトラブルにならないためにも、できるだけ早く単独名義にしたほうがよいでしょう。

共有持分やその売却のことでトラブルになったときには、ベリーベスト法律事務所 姫路オフィスの弁護士がご相談に応じます。お気軽にオフィスまでご来所ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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