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就活生にセクハラして警察から連絡が来た! 対応方法を弁護士が解説

2020年09月23日
  • 性・風俗事件
  • 就活
  • セクハラ
就活生にセクハラして警察から連絡が来た! 対応方法を弁護士が解説

近年、就職活動中に行われるセクシュアルハラスメント、通称「就活セクハラ」が問題になっています。今のところ姫路市内では就活セクハラそのものの報道はないものの、セクハラが露呈し懲戒処分を受けた事例のほか、セクハラ行為が露呈し大きな問題になるケースは少なくありません。

自分自身は好意を示したつもりであっても、相手がセクハラと受け止めたというケースは多々あるでしょう。そもそも、どのような行為がセクハラに該当し、罪に問われる可能性があるのか、ご存じでしょうか。本コラムでは、セクハラの基本的知識からセクハラで警察の取り調べの対象となったり逮捕されたりしたときはどうなるのかについて、姫路オフィスの弁護士が解説します。

1、就活セクハラは犯罪行為に該当する場合も

就活セクハラとは、前述のとおり就活生に対してセクシュアルハラスメント(以下セクハラ)を行うことを指します。立場上拒めない相手に対して本人の意思に反して性的な意図で食事に誘ったり触れたりすると、セクハラと判断される可能性が高いでしょう。

セクハラは、実際に行ったことによっては性犯罪者として逮捕され、罪に問われることがあります。

  1. (1)強制わいせつ罪、準強制わいせつ罪

    暴行または脅迫を用いてわいせつな行為をした場合、強制わいせつ罪に問われることがあります。

    まず、「わいせつな行為」とは、被害者の性的羞恥心を害する行為を意味します。具体的には、胸を触る、お尻を触るなどという行為が該当するでしょう。

    次に、「暴行または脅迫」という要件は、行為の相手方を強く威嚇した場合のみ該当するかのような印象を受けるかもしれません。しかし、ここでの暴行または脅迫とは、そこまでの行為でなくても該当し得ます。被害者の反抗を著しく困難にする程度で、暴行または脅迫をしたと評価されることがあるということです。つまり、胸をもんだ、抱きしめたなどの場合、その行為自体が暴行と評価されることがあります。一般的に、許可をしていない者に性的な意図を持って体に触れられること自体、恐怖を感じる行為であると考えられるためです。

    したがって、抱きしめたとき抵抗されなかったとあなたが思ったとしても、被害者が抵抗したくとも抵抗すれば就職ができないかもしれないと思わせる状況下であれば、暴行または脅迫に該当し得るため、強制わいせつ罪が成立する可能性があります。

    また、就活生を居酒屋などに呼び出し、泥酔させ、抵抗できない状態を利用して胸やお尻を触るなどという行為をした場合、準強制わいせつ罪が成立する可能性があります。

    強制わいせつ罪や準強制わいせつ罪として罪に問われ、有罪になったときは、6か月以上10年以下の懲役刑が科される可能性があります。罰金刑の設定はありません。

  2. (2)強制性交等罪、準強制性交等罪

    強制性交等罪は、本人の意思に反して性交を行うことで成立する犯罪です。なお、他人が心神喪失または抗拒不能状態にあることを利用し、またはそのような状態にさせ、本人の意思に反して性交を行うと、準強制性交等罪が成立します。

    具体的には、就職させることをにおわせて性交関係を強制するケースや、泥酔させ、ホテルに連れ込むなど、本人の判断能力がない状態を利用して肉体関係を持つなどという場合が該当します。

    強制性交等罪や準強制性交等罪の法定刑は、5年以上の有期懲役刑です。強制わいせつ罪などでは6か月以上と短期の懲役刑がありましたが、強制性交等罪と準強制性交等罪には、罰金刑の設定はもちろん、短期の懲役刑の設定がそもそもされていません。

  3. (3)その他、問われる可能性がある罪

    ここまでご紹介した犯罪のほかにも、迷惑防止条例違反や強要罪、名誉毀損(きそん)罪などに問われることもあるでしょう。それぞれの法律で規定されている刑罰は以下のとおりです。

    ●迷惑防止条例違反(兵庫県の「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」)
    公共の場や乗り物内で相手の体をなでまわすなどの行為をした場合……6か月以下の懲役または50万円以下の罰金
    ※迷惑防止条例で規制される内容や処罰は、罪を犯した都道府県ごとにその内容が異なります。

    ●強要罪
    無理やりキスをさせるなどの行為をした場合……3年以下の懲役

    ●名誉毀損罪
    公然と相手の性生活などに言及したり、わいせつな事実の適示をした場合……3年以下の懲役・禁錮または50万円以下の罰金

2、逮捕されるとどうなるのか

犯罪行為に該当するとして逮捕されてしまった場合、どうなるのでしょうか。

  1. (1)身柄の拘束を受ける

    就活生に対してセクハラを行ったとして逮捕された場合、長時間身柄を拘束されることになります。逮捕は、刑罰ではありませんが、刑事訴訟法で定められた手順に従って行われる特別な措置であるため、この拘束に抵抗することはできません。逮捕されたあとは警察官の取り調べなどを受けることになります。

    警察官は、逮捕から48時間以内に検察官へ送致するかを判断し、必要な場合は検察へ送致されます。送致を受けた検察官は、送致から24時間以内に勾留請求するかどうかを判断します。勾留とは、引き続き身柄を拘束したまま捜査を行う措置を指します。勾留請求が認められてしまうとそこから10日間、延長があるとさらに10日間勾留されてしまうのです。
    なお、逮捕から最長3日間は家族や友人などと面会したり連絡を取ったりすることはできません。面会できるようになるのは、勾留が決定したあとになります。また、接見の制限を受けている期間中、直接面会できる相手は弁護士のみに限られます。

    勾留が決定した場合、逮捕されてから起訴されるかどうかが決定するまでの間だけでも、最大約23日間身柄の拘束を受けることになります。当然、その間は帰宅できませんし、会社へ行って仕事をするなどの社会的な活動を行うことができなくなってしまいます。会社は欠勤扱いとなってしまうため、会社の名を使って就活セクハラを行った末、逮捕された事実を隠しきることは難しくなるでしょう。また、身柄の拘束を受ける事件へ発展した場合は、地方紙などで実名とともに容疑内容が公表されてしまう可能性は否定できません。

  2. (2)前科がつき処罰を受ける可能性も

    逮捕されて勾留されたのち、最終的に起訴されてしまった場合には、さらに身柄の拘束が続くことになります。ただし保釈が認められれば、身柄が解放される場合もあります。その場合も、裁判のときは裁判所へ出廷しなければなりません。刑事事件のほとんどが起訴されれば有罪判決が下ることになるため、前科がついてしまう可能性が高いでしょう。

    もっとも、前述の強制わいせつや強制性交等の罪を問われ起訴された場合、執行猶予が付されなければ、刑務所に入らなければならなくなります。したがって、重すぎる処罰を受けないようにしたいのであれば、起訴される前に適切な弁護活動をしてもらう必要があるといえるでしょう。

  3. (3)警察から連絡がきて出頭を求められるケースもある

    警察から連絡が来たという時点で焦っている方もいるかもしれません。そもそも逮捕は、前述のとおり特別な措置です。現行犯逮捕や緊急逮捕でない限り、裁判所から逮捕状を発付されなければ行えません。

    そこで、被害者からの告訴を受けた警察は、電話などで出頭を要請することがあります。この時点では任意なので事情聴取を断ることができますが、素直に応じない場合は、逃亡や証拠隠滅の危険があると判断され、逮捕状による逮捕に踏み切られてしまうことがあるでしょう。

    もし、素直に出頭要請に応じ、事情聴取に協力したうえで罪を認めていれば、逃亡などの危険性はないと判断されます。その場合、身柄の拘束を受けない在宅事件扱いとなる可能性を高めることができるでしょう。

    在宅事件扱いとなれば、23日にわたる身柄拘束を受けることもなく、これまで同様の生活を続けながら取り調べが行われることになります。起訴か不起訴かの判断も、捜査が終わり次第となるため、身柄拘束を受けている場合に比べ、次項で解説する示談交渉などをはじめとした弁護活動も余裕を持って進めることができるでしょう。

3、逮捕の回避や不起訴には弁護士の力を利用する

前述のとおり、逮捕からたったの3日間で勾留の必要性が判断され、23日間で起訴されるか否かが決定してしまいます。個人で対応することは非常に難しいため、逮捕されてしまう可能性が出てきた時点で、弁護士に相談することを強くおすすめします。

  1. (1)被害者との示談成立を目指す

    逮捕を回避するためには、前述のとおり、在宅事件扱いとして処理される必要があります。そのためには、犯罪の軽微性や本人の反省とともに、被害者の宥恕(ゆうじょ)があることなどを警察や検察といった捜査機関や、裁判所に対して示さなければなりません。

    被害者の宥恕とは、被害者から許されているということを意味します。そこで、被害者の被害に応じて金銭的にその被害を補填する示談を通じて、宥恕してもらうことを目指します。

    仮に逮捕されてしまった場合でも、今後は早期に社会復帰する必要があります。スムーズな社会復帰のためにも、前科がつかないほうがよいことは間違いありません。起訴するかどうかは検察官が判断しますが、起訴の必要性として被害者の被害の大きさが判断材料のひとつとなります。

    ただし、特に性犯罪の被害者は、加害者やそのご家族と示談交渉をすることを拒みます。そのため、示談交渉自体ができない可能性があるでしょう。無理に交渉しようとすれば、別の罪に問われかねないため、辞めたほうが無難です。逮捕された場合は身柄の拘束を受けているため、そもそも示談できません。

    しかし、弁護士に示談を委任することによって、交渉できるケースは少なくありません。

  2. (2)迅速な弁護活動を行う必要がある

    被害者との示談は、早めに成立させたほうがよいものです。たとえば逮捕前ならば、示談を成立させ、告訴を取り下げてもらうこともできますし、逮捕後であっても在宅事件扱いとなる可能性を高めることができます。

    さらに逮捕された場合でも、勾留や起訴を回避するには、それぞれの手続きの時間までに示談が成立していなければなりません。したがって、一刻でも早く示談を成立させる必要があるのです。

    また、セクハラだと訴えられたことが事実でない場合や、事実でないことまで疑われてしまっているケースもあります。その場合、逮捕中であればだれにも相談できません。早く帰りたい一心でやっていないことも含めて罪を認めたら、非常に重い処罰を科されてしまう可能性が高まります。

    しかし、早期に弁護士に依頼していれば、状況を相談したうえで対応していくことができますし、容疑を晴らすための弁護活動を行うこともできるでしょう。ひとりで解決することは非常に難しいものです。早期に弁護士に頼ることを強くおすすめします。

4、まとめ

自分では好意を示しただけだとしても、立場上拒めない就活中の学生などに対して性的な意図を持った行為をしたのであれば、就活セクハラに該当する可能性があります。場合によっては逮捕されるなど大きな損失に発展しかねません。

セクハラ行為がもとで警察から連絡が来たなどの状況に陥ったときは、弁護士に相談することをおすすめします。まずは、ベリーベスト法律事務所 姫路オフィスまでお気軽にご相談ください。状況に適した対応で、あなたやあなたのご家族が受ける影響を最小限に抑えられるよう、力を尽くします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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