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交通事故の症状固定は誰がどのように判断するのか? 弁護士が解説

2020年05月14日
  • 治療・症状固定
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交通事故の症状固定は誰がどのように判断するのか? 弁護士が解説

姫路市内で生活するうえで車が欠かせないという方は多いでしょう。兵庫県警では、令和元年中に事故が起きた主要路線についてまとめた資料を「路線別交通事故発生状況」として発表しています。この資料によると、姫路市内では、国道2号、国道29号、国道250号、国道312号、国道372号、県道和久今宿線、姫路市道駅南大路線、姫路市道十二所前線などで事故が起きていることがわかっています。

交通事故に遭ってケガをしたら、通院している間は加害者側の保険会社から治療費などを支払ってもらうことができます。しかし、治療がある程度続いたある日、いきなり相手方保険会社から「そろそろ症状固定ではありませんか?」と言われることがあります。このとき、相手方の保険会社の言われるままに症状固定と判断して治療を終了させても大丈夫なのか? という疑問が残るのではないでしょうか。

本コラムでは、交通事故の症状固定は誰がどのように判断するのか、症状固定以降の手続きの流れなど、交通事故の症状固定についての注意点を姫路オフィスの弁護士が紹介します。

1、交通事故の症状固定とは? 治癒との違いは?

交通事故に遭った場合、症状を治療するための費用を相手方の保険会社に支払ってもらえます。もっとも、打撲、むちうち、骨折、高次脳機能障害などさまざまな症状の中には、どれだけ治療を継続しても症状が治りきらないケースもあるでしょう。

まずは交通事故の治療におけるゴールである治癒と症状固定の違いについて解説します。

  1. (1)治癒は症状が治ったこと

    治癒とは、交通事故によって被った傷害が完治した状態のことをいいます。たとえば、骨折した場合だと、骨折部位が完全に癒合し、骨折前と何ら変わらない状態になれば治癒となりますし、むちうちも軽微なものであれば治癒する可能性は十分にあります。

    症状が治癒したということは、後遺障害が残らなかったということですので、あとでご説明する後遺障害逸失利益は発生しません。

  2. (2)症状固定はこれ以上症状が改善しないこと

    症状固定とは、交通事故で発生した傷害について現代医学において一般的に認められている治療をした結果、これ以上の改善が見込めないと判断された状態のことをいいます。症状固定でも治癒でも治療費の支払いは打ち切りとなりますが、症状固定時において症状が治癒(完治)していない場合には、後遺障害が残ったということになります。

    症状固定と判断されたということは、厳しくいえば「治療の必要(意味)がない」ということですので、加害者(と加害者が加入する保険会社)が治療費を負担する必要もなくなります。そのため、被害者が症状固定後も治療をした場合、その費用は、原則、自己負担となります。

  3. (3)労災では症状固定を治癒と表現するので要注意

    この「症状固定」と「治癒」について注意すべき点があります。

    労災保険の場合、労災保険法等で「なおったとき身体に障害が存する場合」という表現が使われているため、「治癒」と「症状固定」をほぼ同じ意味として使用しており、いずれも「これ以上の改善が見込めしない」ことを指します。そのため、労災の書式をみると、「症状固定の日」として「治癒日」と記載されていたりしますので、混乱しないように注意が必要です。

2、交通事故の症状固定は誰がどう決めるのか?

さて、今回の本題「交通事故の症状固定は誰が決めるのか」です。症状固定の有無はその後の手続きにも関わる重要なものです。

  1. (1)症状固定の判断においては医師の意見が尊重されるべき

    保険会社が「そろそろ症状固定ではありませんか」などと言い、治療費の打ち切りを打診してくるケースはよくありますが、症状固定の有無や症状固定の日については、保険会社の独断で決定されるべきものではありません。
    症状固定を判断する際には、あなたの症状のことをもっともよく知る専門家である主治医の判断がもっとも尊重されるべきです。
    症状固定日等をめぐって示談交渉が決裂すれば、最終的には裁判ということになりますが、その場合には、医療記録等の資料を踏まえ、裁判所が症状固定日の認定を行うということになります。この際にも、裁判所は主治医の判断を尊重することが多いです。

    また、実際には、医師の診断を元に被害者と医師が話し合って症状固定の時期を決めるケースも多いでしょう。場合によっては医師から症状固定の可能性を伝えられることもあります。

    ここで注意すべきことは、保険会社の治療費打ち切りと症状固定はイコールではないということです。医師の判断として治療の必要性および相当性が認められるのであれば、それを相手方の保険会社に主張することで、治療費の支給を受け続けられる可能性があります。
    なお、保険会社は、医師に対して定期的に医療照会を行っていますが、その医療照会に対する医師の回答を根拠に保険会社が症状固定と判断し、治療費の打ち切りを打診してくるということもあります。その場合には、症状固定時期を争いにくいということになります。

  2. (2)症状固定したら後遺障害等級認定申請を行う

    医師の診断によって「症状固定」と判断され、かつ、その時点で後遺障害が残っている場合には、後遺障害等級認定の申請を損害保険料率算出機構の中の自賠責損害調査事務所に対して行うことになります。後遺障害等級認定の申請では、後遺障害診断書などの医学的に後遺障害の残存を立証ができる資料を添付する必要があります。

    なお、後遺障害等級認定申請には、相手方の保険会社に手続き代行をしてもらう事前認定と、自分で申請を行う被害者請求の2種類があります。

  3. (3)後遺障害等級認定とは

    後遺障害認定等級とは、後遺障害の度合いによって14段階に区分された等級のことです。1級がもっとも高く14級がもっとも低い等級にあたります。

    後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益の算定は、認定された後遺障害等級に応じて行われます。後遺障害等級が1級異なるだけで損害賠償額に大きな差が発生します。したがって、申請を行う際には、しっかりと自分の後遺障害を認定してもらえるに足りる資料をそろえる必要があります。

  4. (4)症状固定までの期間の目安は?

    保険会社は常に多数の交通事故事例を処理し続けているため、治療費の打ち切りを打診するために、おおむね次のような治療期間の目安を設けているようです。

    • 打撲は1か月程度
    • むちうちは3か月程度
    • 骨折は6か月以上程度
    • 高次脳機能障害は1年以上


    事故発生日からこの期間が経過すると、保険会社から、症状固定したとして治療費打ち切りを打診する内容の連絡がくるでしょう。たとえば、むちうちのケースですと、「3か月経過しましたので症状固定と判断し、治療費の支払いを打ち切ります。」などと保険会社の担当者から言われる可能性があるということです。

  5. (5)症状固定したあとに支払われるお金

    先にも触れたとおり、保険会社は、原則として症状固定以降における治療費の支払義務を負いません。後遺障害が残り、後遺障害等級認定がなされた場合には、認定された後遺障害等級に応じた賠償が行われることになります。なお、後遺障害部分の損害項目としては、後遺障害逸失利益、後遺障害慰謝料などがあります。

3、交通事故で症状固定と判断されると

ここでは、交通事故で症状固定と判断された以降における手続きの流れなどについて、解説します。

  1. (1)治療費を打ち切られる

    まず、相手方保険会社において症状固定と判断されると、それ以降の治療費を相手方保険会社が支払うことはありません。

  2. (2)その後の治療費は自分で払わなければいけない

    症状固定日以降の治療については、自分で費用を負担する必要があります。
    自覚症状では痛みなどが残っていたとしても、早い時期に症状固定と診断されてしまうと、健康保険等を用いて、自腹で通院しなくてはならなくなります。

    そのため、症状固定日については、あなた自身の症状に沿った適切な判断をしてもらうべきです。医師からまだ治療の必要があるという診断を受けた場合は、その事実について保険会社へ伝えることをおすすめします。
    弁護士に依頼していれば、弁護士が主治医に「まだ治療が必要である」旨の書面を作成してもらうなどして症状固定日を争うこともあります。

    なお、相手方保険会社が治療費の負担を打ち切ってきたといっても、相手方保険会社が自身の判断として勝手に症状固定といっているだけですから、治療費を打ち切られた以降も自費による治療を続けたうえ、症状固定時期について相手方保険会社と異なる主張をし、相手方保険会社による打ち切り後の治療費を請求するという対応をとることも可能です。

  3. (3)後遺障害等級認定申請は被害者請求のほうがよい理由

    相手方保険会社から症状固定についての連絡が来た際に事前認定の案内をされることがありますが、後遺障害等級認定申請は、相手方の保険会社が行う事前認定より自分で行う被害者請求を選びましょう。

    事前認定は、相手方保険会社が申請を行ってくれるため、あなた自身がやることは特になく手続きが楽になるというメリットがあります。反面、相手方保険会社は提出する資料を丁寧に検討して修正したりするようなことはしませんので、資料が不十分なことで本来より低い等級で認定されてしまうケースがあることは否定できません。

    被害者請求の手続きは簡単と言えませんが、弁護士に依頼している場合には、被害者請求の手続きのサポートを受けることができます。

4、損害賠償の示談等を弁護士に依頼するメリット

後遺障害の等級が決まったらいよいよ示談交渉ですが、相手方保険会社が提示してくる示談金(賠償金)は、必要最低限の補償を目的とした「自賠責基準」か、自社の基準である「任意保険基準」で計算されたものであることがほとんどです。
しかし、これらの基準とは別に、弁護士が介入することによって請求することができるようになる「裁判所基準」というものがあります。この「裁判所基準」によって計算すれば、「自賠責基準」などと比べて、受け取れる金額に倍以上の差が出ることもあります。

一度示談に合意してしまえば、それを覆すことは原則としてできません。相手方の保険会社から提示を受けた示談金の額が妥当かどうかを知るためにも、一度弁護士に相談してみることをおすすめします。

5、まとめ

「症状固定をいつにするのか」というのはもっとも相手方保険会社と揉めやすい事項といえるかもしれません。
先にも述べたとおり、症状固定がいつであるのかの判断に際しては医師の意見がもっとも尊重されるべきであり、保険会社が一方的に症状固定だと判断することは慎むべきことです。もしこちらの主張が受け入れられずに治療費を打ち切られてしまった場合でも、取りあえずは自費で治療を続けてあとから自己負担した治療費を保険会社に請求できる可能性もあるので、自費での通院を継続するというのもひとつの手段です。

保険会社とのやりとりで不安があるときは、ベリーベスト法律事務所 姫路オフィスでご相談ください。知見豊富な弁護士があなたの権利を守ります。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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